チタノシリケート構造の精密制御による高機能液相酸化触媒の創製

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13305056
• 研究機関: 横浜国立大学
• 研究代表者: 辰巳 敬 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30101108)
• 研究分担者: 呉 鵬 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60322096) ; 吉武 英昭 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (20230716)
• キーワード: チタノシリケート / ゼオライト / 水熱合成 / 固相転化法 / フッ化物法 / 液相酸化 / 過酸化水素

研究概要

本年度は種々のチタノシリケート触媒(TS-1, Ti-Beta, Ti-MWW, Ti-MCM-41, Ti-MSU-GとTi-SBA-15)の調製、結晶骨格への有機基の導入、Ti種の構造解析、と液相酸化触媒としての特性を検討した。
直接水熱合成法と固相転化法を用いTS-1、Ti-Beta、Ti-MWW、Ti-MCM-41とTi-MSU-Gを調製した。ケイ素源、組成モル比、合成条件(結晶化助剤の添加、合成時の温度、pH値と時間など)と後処理を検討し、調製条件の最適化、粒子径の制御と骨格外チタンの除去を行った。特に、Ti-MWWの結晶化にはホウ酸助剤が大きな役割を果たしていることが明かとなった。また、酸処理による骨格外Ti種の除去が不可欠であることもわかった。間接法としてチタン化合物処理法を用い、Ti-MWWとTi-SBA-15を入手した。これらのチタノシリケートにつて、シリル化処理、四級アンモニウムイオン交換修飾、合成の段階有機シラン剤またはフッ素の導入などを行うことにより、チタノシリケートの親水・疎水性、表面酸性質とTi種の局部構造の制御を行った。
チタノシリケートの構造についてXRD、ガス吸着を、Ti周囲の構造について赤外、紫外可視分光法を用いて調べた。また、疎水性を水吸着、昇温脱離により評価した。全てのチタノシリケートのTi種が結晶骨格中に四配位として存在することがわかった。また、他のチタノシリケートと異なり、Ti-MWWのTi種が複雑な局部構造を有することを明らかにした。
これらのチタノシリケート触媒を分子サイズの異なるシンプルアルケン或は官能基を有するアルケンの過酸化水素によるエポキシ化に適用し、触媒活性と選択性がチタノシリケートの形状選択性、酸性質、親水・疎水性、Ti種の状態に大きく依存することがわかった。特に、四級アンモニウムイオン交換修飾によりTi-Betaの表面酸点が大幅に減少され、エポキシドの選択性が大幅に的に生成されること、とTi-MWWがアルケンの幾何異性体(cisとtrans体)の酸化に異常に高いtrans選択性を示すことを見い出した。

研究成果

• [文献書誌] P.Wu, T.Tatsumi, T.Komatsu, T.Yashima: "Hydrothermal Synthesis of A Novel Titanosilicate with MWW Structure. I. Hydrothermal Synthesis, Elimination of Extraframewrok Titanium, and Characterization"J.Phys. Chem.B. 105. 2897-2905 (2001)
• [文献書誌] Y.Goa, P.Wu, T.Tatsumi: "A Dramatic Improvement of Epoxide Selectivity of [Ti, Al]-Beta by Ion-exchange with Quaternary Ammouium Salts"Chem. Commun.. 1714-1715 (2001)
• [文献書誌] P.Wu, T.Tatsumi: "Extremely High trans Selectivity of Ti-MWW in Epoxidation of Alkenes with Hydrogen Peroxide"Chem. Commun.. 897-898 (2001)
• [文献書誌] P.Wu, T.Tatsumi: "Unique trans-Selectivity of Ti-MWW in Epoxidation of cis/trans Alkenes with Hydrogen Peroxide"J. Phys. Chem. B. 106. 748-753 (2002)
• [文献書誌] M.Sasidharan, P.Wu, T.Tatsumi: "Epoxidation of α, β-Unsaturated Cabonyl Compounds over Various Titanosilicates"J. Catal.. 205. 332-338 (2002)
• [文献書誌] P.Wu, T.Tatsumi, T.Komatsu, T.Yashima: "Post-synthesis, Characterization and Catalytic Properties in Alk ene Epoxidation of Hydrothermally Stable Mesoporous Ti-SBA-15"Chem. Mater.. (in press). (2002)