研究概要 |
1.フォトニック結晶を用いたフェムト秒顕微過渡吸収分光とナノ加工 過渡吸収分光で微弱な過渡吸収測定を行う場合,増幅しないTi : Sapphireレーザーを用いたポンプ・プローブ分光では観測波長が限られており,測定系にも大きな制限を受ける。今回,フォトニック結晶を用いたファイバーにTi : sapphireレーザーを導入して白色光を発生させると共に,倍波(400nm)と白色光を顕微鏡に導入し,共焦点光学系とロックインアンプを用い微小領域の過渡吸収測定を試みた。その結果,500nm以上の波長範囲で10^<-7>程度の微弱な過渡吸収測定が可能であることがわかった。また,フェムト秒白色光の分散特性およびパルス特性などのデータをストリークカメラにより解析し,この測定システムの基礎データを得た。増幅しないレーザーを用いた微小領域のポンプ-プローブ分光法は,微弱吸収の測定が可能であるので種々の系への応用が可能であると共に、吸収SNOMや蛍光SNOMの光源としても有望である事が分かった。 さらに,フェムト秒レーザーとSNOMを組み合わせると,アントラセン等の薄膜結晶のナノ加工が可能であることを実験的に示した。 2.ナノ界面分光の為の半導体ナノ微粒子とナノワイヤ CdSなどの半導体微粒子に関する顕微分光による研究例はいくつかありこれまでSNOMを用いた研究を行ってきたが,ナノワイヤに関する研究例はほとんどない。今回CdTeの半導体ナノ微粒子およびナノワイヤの作製を試みた。ナノワイヤに関しては数100nmの幅とμmの長さを持つものしか得られなかったが,CdTeナノ微粒子は,2.8nmから4nm程度のものが得られ,吸収,発光スペクトルを100nm以上にわたって制御可能となった。また,そのフェムト秒〜ピコ秒ダイナミクスのサイズ依存性を解析すると共に,時間分解SNOMによる局所領域のダイナミクスの解析も行った。さらに,POPOPのナノ微粒子を再沈法とレーザーアブレーション法で作製し,分光学的特性をSNOMで解析した。
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