ガラスの光化学反応性の解明―電子、振動構造からのアプローチ―

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13305061
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 横尾 俊信 京都大学, 化学研究所, 教授 (90158353)
• 研究分担者: 島田 良子 京都大学, 化学研究所, 助手 (90346049) ; 高橋 雅英 京都大学, 化学研究所, 助手 (20288559)
• キーワード: 光導波回路 / シリカガラス / フォトリフラクティブ / グレーティング素子 / 波長多重 / 光通信 / 欠陥 / 光化学

研究概要

本研究においては前年度までに光誘起屈折率変化が10^<-3>以上と非常に大きな、Ge含有SiO_2薄膜の作製に成功している。本年度は得られた薄膜を用い、光誘起屈折率変化の起源となる光活性化過程の解明を行った。光吸収、電子スピン共鳴などから算出した誘起構造の濃度と屈折率変化を関連づけることにより、屈折率変化の起源が光誘起緻密化であること、またガラス中の還元性欠陥であるGe^<2+>が光誘起過程の起源であることが明らかになった。さらに、高光活性薄膜を用いて、光導波路(チャンネル型、Y分岐型)あるいはグレーティング素子の試作を行った。グレーティング素子を200℃で電界印加することにより非線形光学特性を賦与した。得られた非線形光学グレーティング素子に電界を印加することによりグレーティングの反射波長の制御に成功した。グレーティングの反射波長は100Vあたり5pm程度シフトした。当初の目標である能動型導波回路実現の目処が立ったと考えられる。さらに非線形光学特性の大きなガラスとして有機-無機ハイブリッドガラスに着目し、成形性の優れた組成開発にも成功している。

研究成果

• [文献書誌] Niida, H: "Spontaneous reduction of europium ions below 250℃ in organic-inorganic hybrid low-melting phosphite glasses"J. Mater. Res.. 18. 1-3 (2002)
• [文献書誌] Takahashi, M.: "Photochemical reaction of Ge^<2+> in germanosilicate glasses under intense near-UV laser excitation"J. Appl. Phys.. 92. 3442-3446 (2002)
• [文献書誌] Takahashi, M.: "Structure and properties of doped aluminum titanate ceramics with improved thermal and mechanical performance"J. Am. Ceram. Soc.. 85. 3025-3030 (2002)
• [文献書誌] Uchino T: "Microscopic model of photoinduced and ressure-induced UV spectral changes in germanosilicate glass"Phys Rev B. 65. 72202-72204 (2002)
• [文献書誌] Takahashi: "Correlation between macro-and micro-structural changes in Ge : SiO_2 and SiO_2 glasses under intense uv irradiations"J. Am. Ceram. Soc.. 85. 1089-1092 (2002)
• [文献書誌] Niida, H: "Structure of organic-norganic hybrid low-melting glasses from ^<29>Si NMR and ab initio molecular orbital calculations"J. Non-Cryst. Solids. 311. 145-153 (2002)