研究概要 |
本研究では,3周波型計量魚群探知機および曳航式トランスデューサを用いてスルメイカ資源を調査し,リアルタイム型曳航式CTD計により3次元海洋環境をモニタリングする。同時に,夜間可視画像よりスルメイカ漁船分布,海面温度画像より海面温度分布や海洋前線分布を調査することにより,スルメイカ漁場周辺における資源と環境との関係を多元的に解析する方法論を開発することを目的とする。 スルメイカは,動物プランクトンや仔稚魚で構成される音響散乱層に混在するため,音響的に動物プランクトンなどと識別することは難しい。そこで,動物プランクトン,仔稚魚,スルメイカの音響特性を調べるために,曳航式トランスデューサを用いた音響調査を実施した。調査海域は日本海で,本学練習船北星丸を用いて行った。採集具としては動物プランクトンと仔稚魚についてはFMTネット(フレーム式中層トロールネット),スルメイカについては自動イカ釣機を用いた。その結果,動物プランクトンについては,多層にわたる音響散乱層が観察され,それぞれの層の音響特性が異なり,またネットサンプリングにより構成生物に特徴があることが浮き彫りになった。スルメイカについては船底装備のトランスデューサとの組み合わせにより,そのエコーの抽出が可能であると思われた。英国より購入したリアルタイム型曳航式CTD計は本体と船上機器との接続に不具合が判明したため本格的に活用するのは来年度からに変更した。夜間可視画像により北海道周辺海域でスルメイカ漁船分布を解析した結果,日本海側では冷水域に,日高沖合海域では暖水側に漁場が形成されることが明らかになった。さらに,海面温度画像から海洋前線分布解析のために客観的な2値化抽出法を用いる手法を開発し、黒潮続流域の海洋前線ではおおよそ利用可能であることがわかった。既存の3次元可視化ツールAVSを用いて過去にグリッド観測したデータを用いて,海洋環境の3次元表示法を開発した。
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