研究概要 |
本研究は,現地(ガーナ大学農業研究所内)にマイクロダム及びその受益農地を新たに構築して,流出農業型雨水ハーベスティング(Rainwater Harvesting/R-H)による小規模灌概スキームを構築する際のR-Hシステムの最適な計画,設計,管理方法,R-Hによる灌概が農業生産力の増大に及ぼす効果と最適な作物生産体系の導出,さらにはスキームの構築が農村社会と環境に及ぼす影響について実証的に論究して,乾燥・半乾燥地域における水戦略オプションとしてのR-Hの持つ有効性を検証することを目的としている.本年度は,マイクロダム建設予定地に設置した気象観測ロボットによって,雨量,湿度,地温,風速等の自動観測を引き続き実施し,詳細な水文データの集積を行うとともに,これまでに得られた約1ヶ年半のデータを用いて,現地における降雨特性等の詳細分析を行った.また,GIS(地理情報システム)を援用して雨水集水域からの流出特性を解析するための新規な手法について検討を行った.さらに,本研究の重要な部分を占めるマイクロダムの建設については,前年度に得た基本設計を基にして,マイクロダム本体並びにダム取水口からファームランド(受益農地)予定地までの送水路(管水路及び開水路)の建設に着手し,現在,いずれもほぼ予定通りの進捗状況にある.この間,延べ4回,6名が現地調査に出向くとともに,マイクロダム完成後の最適管理問題についての理論研究の成果を発表するため,クロアチアで開催されたUNESCO主催の国際会議(2002 Dubrovnik Conference on Sustainable Development of Energy, Water and Environmental Systems)に出席した.なお,本論文は,その後,国際誌Journal of Energyにノミネートされ,近々同誌にその全文が掲載されることとなっている.
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