研究課題/領域番号 |
13307008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野田 亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (30146708)
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研究分担者 |
北山 仁志 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30231286)
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キーワード | MMP-2 / MT1-MMP / 遺伝子欠損マウス / 血管 / central core disease / RECK / 膵癌 |
研究概要 |
(1)マトリックス・メタロプーテアーゼ(MMP)・ファミリーに属するタンパク質分解素MMP-2とMT1-MMPは、RECKによる阻害の標的であり、がんの悪性化に深く関わることが知られているが、発生に伴う組織リモデリングにも重要な役割を果たすと考えられている。しかし、これらの遺伝子の単独欠損マウスでは、胚発生の顕著な異常は見出されていない。我々は、生体内におけるRECKとこれらの分子の相互作用を調べる目的で、先ずMMP-2とMT1-MMPの2重欠損マウスを作成したところ、この変異が出生直後の死をもたらすことが明らかとなった。このマウスでは、血管径が有意に小さく、筋肉も未発達であり、これらの組織の発達における細胞外マトリックス・リモデリングの重要性が示唆された。死因は筋肉の未発達による呼吸困難と考えられた。この結果は、分泌型と膜結合型という性質の違いを持ち、プロテアーゼ・カスケードの下流・上流に位置すると考えられて来たこれら2つMMPが、実は重複する機能を果たしているという予想外の可能性を示唆する。また、興味深いことに、このマウスの筋肉の病理所見は、人間の先天性筋萎縮性疾患central core disease(CCD)と酷似しており、疾患モデル・マウスとしての意義も考えられる。 (2)膵癌におけるRECKの発現量と患者の生存率との間に正の相関性があることを見出した。この違いは、RECKによる転移、浸潤、血管新生等の抑制を反映するものと考えられた。
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