研究課題/領域番号 |
13307010
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
野田 公俊 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60164703)
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研究分担者 |
三宅 眞実 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10251175)
桑原 聡 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (70282481)
盛永 直子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20092108)
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キーワード | 上気道炎 / Haemophilus influenzae / Campylobacter jejuni / ガングリオシドGM / リポ多糖 / 神経障害 / ガングリオシドGQ1b / サイトトキシン |
研究概要 |
上気道炎のギラン・バレー症候群(GBS)が見られることは古くから世界中で良く知られていた。ただし、上気道炎が必ずしもGBSにつながる事はなく長い間本当の原因が判らずにいた。我々はHaemophilus influenzae(H.i)がGBSの原因菌であることを世界で初めて証明し報告した。GBSを誘発するタイプのH.iとGBS誘発に全く関与しないタイプの少なくても2種類のタイプが存在する可能性が得られたので、本研究で我々は、GBS誘導型H.iを特定する方法の開発という着想に至った。患者由来の臨床分離菌株を初め、多くの種類のH.iを保有しており、現在研究を進行中である。 急性下痢症の起炎菌Campylobacter jejuni(C.j)がGBSの原因菌であるとする基礎および臨床的研究報告をした。世界中でC.jに関して多くの研究が展開されており、そのほとんどは、菌体表面のガングリオシドGM1様のリポ多糖が原因で、これがIgG抗GM1抗体価の上昇を誘導し、神経障害を引き起こすことが明らかにされてきた。しかし、必ずしもIgG抗GM1抗体価の上昇が見られないケースも数多く報告されていた。我々は、このようなケースではIgG抗GQ1b抗体価の上昇が患者に見られることを明らかにし、GQ1b様のリポ多糖を有するC.jも原因菌になる事を報告した。 更に、C.j関する研究を進めた結果、動物実験では単に抗GM1抗体を大量に投与しても必ずしもGBSは発症せず、血液神経関門の脆弱を惹起させる薬物を同時に与える事によって、効率よくGBSが発症することが判ってきた。以上から、我々はGBS誘導型細菌には菌体表面のガングリオシド様構造以外にサイトトキシンのような血液神経関門を障害する病原因子が存在するのではないかという着想に至り、現在研究を進行中である。
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