研究概要 |
NKT細胞は免疫系を制御する細胞であり、KRN7000(α-galactosylceramide)投与によりインターフェロン-γおよびIL-4サイトカインの両者を産生することが知られている。我々は本研究の中でKRN7000刺激したNKT細胞の抗原レセプターは急速に(数分以内)down-regulationし、見かけ上NKT細胞が消失することを見出した(Harada, et al. 2004 Int Immunol)。この結果はヒトに対するKRN7000投与後のNKT細胞挙動を理解するうえで重要である。 NKT細胞の様々な遺伝子発現の変動を把握し解明することは、NKT細胞の機能制御機構を解明する上で重要である。この目的を達成するためにマイクロアレイやサブトラクションを用いてNKT細胞の遺伝子発現のプロファイリングを行ったところ、他のリンパ球よりNKT細胞に強く発現する新規のNK細胞レセプターのクローニングに結びついた(Koike, et al.2004 JEM)。この分子は抑制性NK受容体NKG2Iであり、このNKG2IのKOマウスを作成し解析したところ、この新規分子はアロ細胞の拒絶に重要であることが判明した(Shimizu, et al.2004 Blood)。 生体内におけるNKT細胞の他の細胞への作用の解析は重要であり、樹状細胞を含む免疫制御細胞のNKT細胞活性化後の変化について検討した。NKT細胞のリガンドの単回刺激は樹状細胞を成熟させTh1タイプの反応を引き起こすが、リガンドの頻回刺激ではNKT細胞はTh1サイトカイン産生を停止し、IL-10等のTh2サイトカインを産生する細胞に変化する。Th2タイプのNKT細胞に変化したのち,樹状細胞はIL-10を選択的に産生する制御性樹状細胞に変わり、IL-10を産生する制御性CD4T細胞を誘導して免疫抑制を引き起こすという新しい機序を見出した。
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