研究概要 |
本研究の主題である先天性免疫不全症の簡易診断と遺伝子診断について、(1)X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)患者の探索を全国レベルおよび国際協力事業として推進、(2)日本におけるX連鎖リンパ増殖症侯群(XLP)の同定を遺伝子解析により実施、(3)XLPのフローサイトメトリーによる簡易診断の開発のためにXLP責任遺伝子産物SAPに対する単クローン抗体の作成を行い、以下の結果を得た。 1)全国から依頼を受け、フローサイトメトリーを用いた簡易診断にてスクリーニングし遺伝子解析にてXLAと診断できた症例が、ここ4年間の間に約90家系に累積された。それらを解析し、日本のXLAの遺伝子変異の特徴と成人発症例を含めた臨床的多様性について明らかにした(J Allergy Clin Immunol 108:1012-1020, 2001)。 2)XLAの簡易診断と遺伝子診断に関して国際協力を積極的に努め、トルコ、韓国、ブラジルにおいて相当数の症例について遺伝子変異にてXLAと確定できた(J Immunol 167:4038-4045, 2001, Hum Mutat 18:356, 2001)。 3)2)に附随して、トルコの非XLA症例の中から、世界2例目となるIgα欠損症を同定した(Am J Med Genet, in press)。 4)従来、XLPは日本でまれとされてきたが、責任遺伝子の同定を機に、遺伝子解析にて重症EBウイルス感染症例の中から10症例のXLPを日本で初めて確認した(Blood 98:1268-1270, 2001)。 5)XLP責任遺伝子産物SAPに対する単クローン抗体を作成し、フローサイトメトリー法にて臨床レベルでXLP患者の診断が可能であること確認し、新たに3XLP症例を同定した(J Clin Invest, submitted for publication)。
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