研究課題/領域番号 |
13307033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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研究分担者 |
細田 公則 京都大学, 人間環境学研究科, 助手 (40271598)
井上 元 京都大学, 医学研究科, 講師 (20260606)
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
林 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314211)
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キーワード | レプチン / メラノコルチン / 視床下部 / 肥満 / MC4R |
研究概要 |
4型メラノコルチン受容体(MC4R)は視床下部に発現するG蛋白共役型7回膜貫通型受容体であるが、MC4Rノックアウトマウスが過食を伴う遅発性肥満を発症することから、摂食調節におけるMC4Rの重要性が示唆されている。今回我々は新規のホモ接合型MC4R遺伝子異常症を見出したので報告する。症例は39歳女性。身長161cm、体重160kg、BMI62kg/m^2、出生時体重は3360kgであった。2歳頃より肥満傾向が認められた。患者は乳児期よりミルクの摂取量が著しく多く、学童期には食欲抑制できず嘔吐をしながらも食べつづけることもあった。23歳時の体重は115kgであった。入院時の一般検査成績では、総蛋白量、アルブミン、コリンエステラーゼは低値であった。空腹時血糖も低値の傾向であった。内分泌学的には、エストラジオール、コルチゾール、ソマトメジンCは低値、甲状腺ホルモンは軽度低下、空腹時インスリン値とCペプチドは肥満のため高値であった。患者の同意を得た上で、MC4R遺伝子の翻訳領域全長の塩基配列を直接シークエンス法にて決定したところ、コドン98のグリシン残基がアルギニン残基に変化するホモ接合体変異(G98R変異)を認めた。PCR-RFLP法にて両親の遺伝子型を検討したところ、いずれもG98R変異のヘテロ接合体であった。患者の両親はBMIが26kg/m^2、27kg/m^2と軽度の肥満であった。HEK293細胞に野生型と変異型MC4R遺伝子をトランスフェクションし、a-MSHによるcAMP産生能と結合実験を行った。変異型MC4RではcAMP産生とリガンド結合が全く認められなかった。レプチンの摂食調節作用の少なくとも一部は視床下部メラノコルチン系を介するため、本症例の肥満症の発症にはMC4Rが機能的に欠如していることにより生じるレプチン抵抗性が関与すると考えられる。
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