研究課題/領域番号 |
13307033
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
|
研究分担者 |
細田 公則 京都大学, 医学研究科, 助手 (40271598)
井上 元 京都大学, 医学研究科, 講師 (20260606)
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
林 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314211)
|
キーワード | レプチン / 脂肪萎縮性糖尿病 / 糖代謝 / 交感神経 / 副腎 / β交感神経 / 糖質コルチコイド |
研究概要 |
我々は既に、レプチンが主に中枢神経系を介して糖代謝調節に関与することを明らかにしてきた。本研究では、脂肪萎縮性糖尿病モデルマウス(A-ZIPTg)を用いてレプチンの中枢性糖代謝改善作用の分子機構について検討した。15週齢雄性A-ZIPTgとレプチン過剰発現トランスジェニックマウス(LepTg)を交配して得られるLepTg/A-ZIPTgにα交感神経遮断薬であるブナゾシン(15μg/g)およびβ交感神経遮断薬であるプロプラノロール(6μg/g)を腹腔内に投与し、1時間後に腹腔内ブドウ糖負荷試験を行った。又、15週齢雄性野生型マウス(+/+)およびA-ZIPTgに両側副腎摘出術を施行し、1週間後に腹腔内ブドウ糖負荷試験を行った。腹腔内ブドウ糖負荷試験においてA-ZIPTgと比較しLepTg/A-ZIPTgでは良好な耐糖能が認められた。このLepTg/A-ZIPTgの耐糖能はプロプラノロール投与により悪化が認められたが、ブナゾシン投与では明らかな変化は認められなかった。一方、A-ZIPTgの耐糖能はブナゾシン投与においてもプロプラノロール投与においても明らかな変化は認められなかった。+/+およびA-ZIPTgにおけるコルチコステロン1日尿中排泄量を測定したところ+/+の156ng/dayに対しA-ZIPTgでは1120ng/dayと著明な亢進が認められた。腹腔内ブドウ糖負荷試験において+/+と比較しA-ZIPTgでは耐糖能不良が認められたが、両側副腎摘出によりA-ZIPTgの耐糖能は+/+と同程度にまで改善が認められた。一方、+/+の耐糖能は両側副腎摘出前後で明らかな変化は認められなかった。以上より脂肪萎縮性糖尿病におけるレプチンの中枢性糖代謝改善作用の少なくとも一部は、β交感神経活動亢進作用と糖質コルチコイド産生抑制作用によりもたらされることが示唆された。
|