研究分担者 |
石黒 達昌 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90292945)
北山 丈二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251308)
渡辺 聡明 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80210920)
堀 信一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90282631)
甲斐崎 祥一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70291325)
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研究概要 |
癌の遠隔転移を規定する因子として、S1P(Sphyngosine-1phosphate),血流による物理的shear stressとVEGF-C,-D、とに注目した検討を行った。 1. S1Pは血小板に豊富に含まれる脂質で、癌細胞に種々の影響を与えることが知られている。マウスメラノーマB16の細胞株に、この受容体であるEDG1, 3, 5を導入して、これらの細胞に対する S1Pの影響を調べた。 S1Pはngオーダーで、EDG1, 3導入株に対して、運動の促進、転移の増加傾向をもたらしたが、EDG5導入株に対しては著名な抑制効果をもたらした。この効果は、small G protein racの阻害によって,有意に抑制された。2.マウス大腸癌細胞株、colon26を血小板で凝集すNL17subcloneを用いて、lamininn、血管内皮細胞株HSEとの接着をflow chamberにて解析した。親株と比べて、NL17はマウスの血清を添加すると直ちに数個から数十個の細胞塊を形成し、この細胞塊はリガンドに接触するも強固な接着は形成しなかった。NL17はvivoで、血管内に静注すると高頻度で転移を形成することから、これらの細胞塊は血管に塞栓の形で着床して転移を作ることが推測された。3. VEGF-C,-Dはリンパ管造成を促進する増殖因子で、リンパ節転移に関与することが知られている。105例での早期胃癌の切除標本にて、この発現を免疫染色にて検討した。VEGF-C,-Dの発現には正の相関関係があり、未分化型の胃癌においては、リンパ節転移の有無と強い相関関係が認められた。特に、VEGF-C,-D共に発現していない未分化型早期胃癌22例では、全例リンパ節転移陰性であった。
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