研究課題/領域番号 |
13307036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名川 弘一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80228064)
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研究分担者 |
津野 寛和 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50282637)
北山 丈二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20251308)
渡辺 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80210920)
佐々木 慎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (00292946)
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キーワード | 癌転移 / S1P / LPA / VEGF-L / P16 / CXCR4 / sFlt-1 / COX-2 |
研究概要 |
消化器癌の転移を制御する方法として、以下の分子生物学的知見を得た。 1.S1P (shingosin 1-phosphate)とLPA (lysophosphatidic acid)の二種類のリゾリン脂質は、それぞれの受容体を介して、がん細胞の増殖、運動、MMP,血管新生因子の産生を制御し、癌の発育に様々な影響を与える。 2.Cyclooxygenase (COX)-2は、血管内皮細胞のセルサイクルを抑制し、抗血管新生作用を有する。 3.ヒト癌において、P16、CXCR4, VEGF-C, -Dがリンパ節転移と有意な相関があること。 4.ヒト胃癌(漿膜露出)での腹腔内洗浄液中のCEAmRNAの検出が術後の腹膜播種性再発の予想に有用である。 5.動物実験にてsFlt-1を腹膜中皮細胞に導入すると、有意に腹膜播種を抑制する。 6.緑茶由来のカテキンはリンパ球のCD4分子に結合しリンパ球機能を修飾し、癌に対する生体反応を制御している。 以上の結果から、タンパク質のみならず、様々な生理活性物質が癌転移に複雑にかかわっていることが判明した。特に、活性脂質は脂質代謝の過程で多量に産生され、がんの生物学における脂質代謝の役割の解明が今後の課題であると考えられた。
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