永久使用体内埋込型人工心臓の研究開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13307041
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 阿部 裕輔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90193010)
• 研究分担者: 斎藤 逸郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80334225) ; 磯山 隆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20302789) ; 井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10010076) ; 鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術センター, 助教授 (20197643)
• キーワード: 人工心臓 / ポンプ / 回転式波動ポンプ

研究概要

本研究は、永久使用を実現する理想的な人工心臓の研究開発を目的として、回転式波動ポンプの原理を用いて、小型高性能な永久使用体内埋込型の補助人工心臓および完全置換型人工心臓の研究開発を行う.本年度は、基礎研究用ポンプの開発、電磁駆動方式および駆動制御回路の開発、駆動プログラムの開発、磁気浮上駆動方式の研究およびポンプ特性の研究を行った.基礎研究用ポンプは、永久磁石を埋め込んだディスクを用いて作成した.電磁駆動方式は、ハウジングに電磁石を12個設置して、ディスクの両面からバランスしてディスクを駆動できるように設計した.駆動制御回路は、磁気浮上駆動を実現させるためには詳細かつ精密な制御が必要となるため、各電磁石に1つずつPWM制御回路を設け、合計12個のPWM制御回路を用いて各電磁石を独立に制御できるように設計し、その12個のPWM制御回路を1つのCPUで統合的に制御し、かつシリアル回線を用いてその駆動制御CPUを外部コンピュータから制御できるように設計した.各PWM制御回路のプログラムおよび駆動制御CPUと外部コンピュータのプログラムの試作が終了し、完成した駆動制御回路を用いて、ポンプに内蔵した6個のホール素子によりタイミングを検出してポンプを電磁駆動することに成功した.この成果を基にして、ローターとハウジングに永久磁石を埋め込み、軸方向は永久磁石の反発力により磁気浮上を実現させ、中心に外側が部分球面状の12極ヨークを用いたステーターを設置して、その外側に、内面に部分球面形状永久磁石8個を埋め込んだ揺動回転ローターをなすドーナツ状ディスクを設置することにより、放射方向は電磁石による反発揺動回転により磁気浮上駆動を実現させる回転式波動ポンプを設計した.既に特殊形状永久磁石およびステーターヨークの製作が終了し、現在ポンプを製作中である.

研究成果

• [文献書誌] Y.Abe, et al.: "Progress in the development of the undulation pump total artificial heart"Journal of Congestive Heart Failure and Circulatory Support. 1(4). 167-170 (2001)
• [文献書誌] Y.Abe, et al.: "One month survival with the undulation pump total artificial heart in a goat"Artificial Organs. 25(1). 69-71 (2001)
• [文献書誌] Y.Abe, et al.: "Principle of the rotary undulation pump"Journal of Artificial Organs. 印刷中. (2002)
• [文献書誌] K.Imachi, et al.: "A new hypothesis on the mechanism of calcification formed on a blood-contacted polymer surface"Journal of Artificial Organs. 4(1). 74-82 (2001)
• [文献書誌] K.Imachi, et al.: "Design of atrial cuff for the undulation pump total artificial heart"Journal of Congestive Heart Failure and Circulatory Support. 1(4). 195-200 (2001)
• [文献書誌] I.Saito, et al.: "Miniature undulation pump for the study of renal circulation"Journal of Congestive Heart Failure and Circulatory Support. 1(4). 321-325 (2001)