研究課題
基盤研究(A)
本研究は、永久使用を実現する理想的な人工心臓の開発を目標として、小型高性能な体内埋込型人工心臓の研究開発を行うことを目的とした.新しい波動ポンプである回転式波動ポンプは、磁気浮上駆動を目標に開発を行った.一次モデルは、永久磁石を埋め込んだディスクを、電磁石とホールセンサーを設置したハウジングで両面から挟み込むデザインで試作した.駆動制御回路を開発して、デルタ結線駆動、Y結線駆動および特別なギャップ制御機構を必要としない反発駆動の3つの方法を試みた結果、反発駆動では効率が低いことがわかったため、デルタ結線駆動もしくはY結線駆動で、ギャップを制御しながら円板を電磁駆動する方法がよいと考えられた.この結果を基にして、二次モデルを試作した.二次モデルは、円板をリング状にし、円板の内側に球面の一部をなす形態の永久磁石を埋め込み、その永久磁石と対面するように中心部に球面の一部をなす形態の電磁石を設置するというデザインである.二次モデルは、センサーレスで駆動することとして駆動制御回路を開発し、試作したポンプの性能を試験した結果、100mmHgの圧負荷で、7L/minの連続流出力を得ることが出来た.ギャップ制御機構に関しては、光ファイバーを用いた散乱光によるギャップセンサーを試作し特性を試験した結果、血液中ではギャップ間0〜0.5mmの範囲でギャップ制御できる可能性が示された.非回転式の波動ポンプを用いた波動型完全人工心臓は、三次モデルの問題点を全て改善することを目的として、全面的にデザイン、製作法および駆動メカニズムを新設計した四次モデルを開発した.四次モデルをヤギに埋め込んで動物実験を行った結果,11日間の生存を得ることが出来た.
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