研究概要 |
癌遺伝子および癌抑制遺伝子及び胎児組織由来の遺伝子、遺伝子断片(EST)を6500余りを用いてマイクロアレイを作製し、神経芽細胞腫のRNAを解析したところ、予後不良腫瘍で43遺伝子、予後良好な腫蕩の中で自然退縮した腫瘍、分化した腫瘍各々20遺伝子、32遺伝子の発現増強を認めた。さらに、未知の遺伝子の検索する目的でマイクロソート法にて、RNAをスクリーニングしたところ、それぞれに発現増強した遺伝子を63と39個みいだした。これらを、蛍光の定量PCRにて定量し、発現が明らかに異なる既知の遺伝子を21個明らかにした。 病理所見で明らかに組織にheterogeneityの存在する混成型腫瘍の組織の異なる部分、同一腫瘍内でテロメラーゼの酵素hTERTの発現が異なる部分、また化学療法前の生検検体と後の残存腫瘍或いは再発腫瘍の腫瘍細胞部分をマイクロダイセクションを切り出して、RNAを増幅後、アレイ解析した結果、23種類の遺伝子の発現上昇を認めた。これらの多くは、予後不良腫瘍で発現上昇した遺伝子と一致しており、化学療法抵抗性に関与している可能性が示唆された。 テロメラーゼが活性化しテロメアが安定している腫瘍とテロメアが短縮して退縮・分化した腫瘍のアレイパターンから,発現の異なる遺伝子を102個スクリーニングしたがその中でHSP90とRAD50はテロメラーゼの活性化に直接関与しており、臨床応用可能と考えられた。 以上の結果を,臨床的データと照らし合わせて,悪性度を規定している遺伝子変異・遺伝子発現を検討して結果、遺伝子変異は1p,11p,17q,遺伝子発現では24種類が個別化に有用と考えられ、その簡易マイクロアレイを作製し、臨床応用を検討中で、また、同時に本腫瘍でのテロメア長の規定・テロメラーゼの活性化に関わる遺伝子変化も同定中である。
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