研究概要 |
インフォームド・コンセントの後得られた、ケロイド由来線維芽細胞を初代培養し、3継代から7継代までのものを、インスリン様成長因子(Insulin-like Growth Factor 1、IGF-1)受容体は発現量を確認し、セラミド添加によるアポトーシスに対する反応性を分子レヴェルで検討した。ケロイド由来線維芽細胞は、正常由来線維芽細胞に比較し、最大3倍のIGF-1受容体発現増を認め、セラミド誘導アポトーシスでは抵抗性を示した。また、IGF-1添加により、ケロイド由来線維芽細胞は有意な生存率の上昇を認めた。また、ケロイド由来線維芽細胞のアポトーシス抵抗性を検討する目的で、IGF-1受容体下流情報伝達物質である、PI-3キナーゼをwortmanninでブロックすると、IGF-1添加にも関わらず、生存率の低下を認め、IGF-1系の情報伝達経路関与を示唆した。 また、正常ヒト間葉系幹細胞は、正常骨髄中に存在し、脂肪、筋、軟骨、骨などへの分化能を有するが、細胞表面マーカーによるフロー・サイトメトリー法により、高度に分画し得られた、human mesenchymal stem cell (hMSC)と骨形成、血管新生サイトカインを用いて、異所性血流内包埋ヌードラットモデルでの骨再生につきin vitroおよびin vivoにて検討した。 まず、in vitroアッセイでは、1X10^5個の細胞播種し、bFGF, BMP-2と幹細胞培養では骨結節を認め、細胞陽性を示した。(29.0 vs. 11.2 cells/field, bFGF, BMP-2, 幹細胞 対 幹細胞のみ、p<0.01)ついで、7週令F344/Ncl-runヌードラットの腹壁下部の浅腹壁血管を茎とする皮弁モデルを作成し、担体としてゼラチンスポンジを使用し、幹細胞のみ(1X10^6個)5μ1の群、幹細胞にbFGF(100μg)添加群、幹細胞にBMP-2(10μg)添加群、幹細胞とbFGF, BMP-2の混合添加群で骨量検討、骨蛋白発現、骨構造解析を行った。術後2, 4週に安楽死させ、骨密度を計測した。また薄切標本を作製し、組織観察およびアルカリフォスファターゼ免疫組織染色した。骨塩量は、4週で幹細胞にBMP-2又はbFGFを添加した群で有意な上昇を示し,幹細胞に混合添加した群で最大でした。(12.5 対28.5 mg/cm^2, 対照 対 幹細胞と混合添加, p<0.01)。組織標本でもbFGF, BMP-2混合添加群では、良好な血管新生と一部ミネラル化を認めた。また、拒絶状態は一切認められなかった。
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