研究課題/領域番号 |
13307055
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
山本 宏治 朝日大学, 歯学部, 教授 (60182622)
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研究分担者 |
鶴町 保 日本大学, 歯学部, 講師 (60139201)
庄司 茂 東北大学, 歯学部付属病院, 講師 (10142986)
加藤 喜郎 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (20060452)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部付属病院, 講師 (80208222)
北村 正博 大阪大学, 歯学部付属病院, 講師 (10243247)
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キーワード | 高齢者 / 早期歯科治療 / う蝕治療 / 歯周治療 / 歯髄保護法 / レーザー治療 / 抗う蝕性材料 / 根面う蝕 |
研究概要 |
高齢者の歯髄・歯周疾患の予防と早期治療法の確立を研究課題として、以下の研究成果を得た。すなわち、1)歯周疾患が生体の及ぼす影響を的確に発見することは心動脈疾の予防につながる。重度の歯周病患者において、P.gingivalis感染が高感度C-対応性タンパク(CRP)血中レベルと相関し、歯周治療に伴い低下の傾向にあることを再確認した。2)歯周炎患者に対するsupportive periodontal thenapy(SPT)の効果を検討したところ、SPTが歯の保存に有効に働くことを明らかにした。3)歯髄腔壁が加齢によりどのように変化するかを知る目的で、若年者および高齢者の歯髄腔壁象牙質の表面構造を走査電子顕微鏡で観察した。その結果、歯根完成歯の根尖部には側枝や分岐などが多く観察された。4)高齢患者への負担を減らすことを目的とし、Er:YAGレーザーを用いた根管拡大法の研究を行った。成犬を用いた病理組織学的検討の結果、側方に照射可能なチップを用いれば、歯根周囲組織にも何らの影響を与えないことが判明した。この研究をもとに、研究への理解が得られた患者30名での臨床応用で良好な結果が得られた。5)若年者から高齢者までのヒト抜去歯42本を用い、加齢による象牙質-歯髄複合体の病理組織学的ならびに免疫組織化学的変化について検討した。その結果、若年者では線維芽細胞の数が多く、核も大きく、細網線維も濃密で微細なネットワークが形成される傾向にあった。神経線維については血管に伴って走行するケースが多いが若年者では比較的太く、点状や連続した束状構造物として認められた。6)高齢者において根面う蝕が多発する傾向があることから、その再発を防ぐ目的でその治療材料を検討する必要がある。フッ素徐放性コンポジットレジンとボンディングを併用することによって、脱灰象牙質の深さが浅く、石灰化度の高い層を得られる。また、抗菌性ゼオライト配合のコンポジットレジンの細胞毒性を調べたところ、銀、亜鉛の溶出は認めず、生体安全性に優れた物であった。さらに、S-PRG材の抗プラーク性をin vivoで確認し、抗プラーク性にS-PRGレジン表面に形成されるフィルム層が関与していることを明らかにし、そのフィルム形成に唾液タンパクの関与を明らかにした。 以上め成果を3年間で得ることが出来、これらを最終成果とする。
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