研究分担者 |
阿部 純義 筑波大学, 物理学系, 助教授 (70184215)
早川 尚男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90222223)
田中 仁 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (90183863)
道下 敏則 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00166050)
湯山 哲守 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (90026815)
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研究概要 |
磁化された純電子プラズマの集団的相互作用は渦運動とみなすことができる.紐状の鋭い密度分布(clumps)が対称性の高い配列に至る現象は「渦結晶」の名前で秩序の自己形成過程の代表として注目を受けている.しかし,どのような物理過程によって実現するのかは理解されていない.本研究においてはこれを渦糸の合体あるいは近接分離の分岐過程として捉え,初期分布を精密に制御しつつ緩和過程を細密に観測することにより,渦相互作用の間に背景の低密度の電子分布の中に形成される希薄な溝構造が合体を妨げる働きをすることを指摘した.(Soga, Phys.Plasmas2003)その一方で背景分布はclumpsの運動を規制してclumps間の配位が対称的となる位置にclumpsを導くことを実験的に示した.(Sanpei, Phys.Rev.2003)更にこの孤立した多粒子系に対して外部から回転偏波した波動によりトルクを与えた場合のプラズマの応答について詳細な実験と解析を行い,プラズマの密度分布と境界条件を満たす固有モードが,プラズマとの整合条件をある幅のなかで満たしながら,密度分布を圧縮することを観測した.(Soga, JPFR SERIES6(2004))この成果は外場との相互作用の中に生じる新しい緩和過程として,更なる展開が期待される. 本物理課題を平衡分布形成と平衡間の遷移の研究まで展開するために,最大2.2Tの強磁場でプラズマを保持する実験装置を建設した.併行して強磁場下で鮮明な密度分布計測を行うために,明るくかつ歪みの小さい画像伝送用光学系を開発し,従来よりもはるかに微細に構造化した渦分布の計測に成功した.(Aoki, JJAP投稿2004)この計測技術を渦運動の特性と結びつけて磁気軸とトラップ軸とを高い精度で軸合わせする手法を開発し,本装置の調整に適用した.(Aoki, JJAP投稿2004)更に以上の成果を基礎に得た画像データに,新しく開発した高速ポテンシャル計算法(Kiwamoto, Phys.Plasmas投稿2004)を適用して,強磁場の下放物線状の真空ポテンシャルの中で,純電子群は回転楕円体状のPenning分布に近い平衡状態に緩和することを導出した. 以上の成果はこれまでの研究水準を大きく高めると同時に,今後の実験研究が飛躍的に展開するための基礎を固めるものである.
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