研究課題/領域番号 |
13308023
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
一政 祐輔 茨城大学, 理学部, 教授 (30007760)
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研究分担者 |
福井 正美 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (40027462)
宇田 達彦 核融合科学研究所, 安全管理センター, 教授 (50280590)
百島 則幸 熊本大学, 理学部, 教授 (80128107)
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
斎藤 真弘 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (40027454)
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キーワード | トリチウム / 核融合 / 重水野外実験 / トリチウムの作用への移行 / DNA損傷 / コメットアッセイ / 果樹 / マウス |
研究概要 |
本研究は(1)核融合トリチウムの環境動態の解明と安全性の確保、(2)公衆被曝の安全性の検証を行なうことに重点をおいて研究を行った。上記(1)の主な成果は、1)野外環境で温州みかんが重水に曝された時、曝露時期が開花前であるか、果実の生育期であるか、あるいは果実の成熟期であるかによって結果が大きく異なり、開花前や成熟期では果実への移行は非常に低いことが明らかになった。また、温州みかんでは、大気中の重水が葉を経由して収穫期の果実への移行する際、大気から葉への移行は大気濃度の70%であり、葉の最大重水濃度に対する果実の有機結合型重水への移行率は0.3%であることが明らかになった。一方、大気に放出された重水が土壌に沈着し、土壌の重水が根から吸収され、葉に至り、実の有機結合型重水になる割合は僅かに0.03から0.04%であることを明らかにした。みかん同様に、イチゴ、大豆、ピーマンについても明らかにした。 2)森林が重水に曝露された場合に、林床の落葉の重水濃度は葉の気孔数に依存して変化し、気孔数が多いほど移行率が高いことを明らかにした。3)大気中のトリチウムの化学成分で、比放射能の高い成分の一つとしてトリチウム化アンモニアの存在を明らかにした。上記(2)のおもな成果は1)トリチウム水投与マウスのリンパ球DNAの損傷の有無をコメットアッセイ法によって調べた結果、5mSv以下では損傷は全く認められなかった。マウスから分離してきたリンパ球に直接50mSvのトリチウム水を投与しても有意なDNA切断は見られなかった。
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