研究概要 |
(1)昨年度までの研究で超臨界流体中での大きな同位体効果が観測されたクリプタンド(2B,2,1)を固定相とし,超臨界二酸化炭素にメタノールを添加して塩化チウムを溶解させた流体を移動相とする系について,ブレークスルー方式によるクロマトグラフィー実験を行うことにより減圧して得られる溶出液中のLiの同位体比を誘導結合プラズマ質量分析計で測定した.溶出曲線におけるLi濃度とLi同位体比より,平衡分離係数,理論段相当高さおよび吸着容量を解析により算出し,二酸化炭素モル分率によって変化する溶媒和効果との相関を試みた.この結果,二酸化炭素モル分率が小さくなると溶媒和の効果が大きくなり平衡分離係数を大きくできるが,吸着容量は小さくなることから,工学的な同位体分離においては,二酸化炭素モル分率すなわち溶媒和の大きさに最適値が存在することがわかった. (2)超臨界二酸化炭素中の溶媒和の効果を理論的に解析するために,クラウンエーテルやポリエチレングリコールのように超臨界二酸化炭素に親和性を有する分子をモデル分子として,Gaussian98による量子化学計算を実施し,実験結果を定性的に説明する結果を得た. (3)同位体分離に関する権威ある国際学会であり,米国Oak Ridge国立研究所にて開催された分離現象に関する国際ワークショップ(SPLG2003)において,本研究の成果を取り纏めて発表した.
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