研究分担者 |
古津 年章 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00314617)
國井 秀伸 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (70161651)
相崎 守弘 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20109911)
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30243421)
野村 律夫 島根大学, 教育学部, 教授 (30144687)
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研究概要 |
昨年度に引き続き,定期観測・採取調査・リモートセンシング調査によって中海の現況を把握するとともに,中海環境修復に寄与しうるベントス・水生植物群落について生態工学的な調査を行い,あわせて人工護岸施工後の沿岸微地形変化の追跡などを通して工法の評価を行った.また,貧酸素水塊の形成とヘドロ堆積の関係についてコア試料の分析結果をもとに検討した.主な成果は以下の通り. 1.沿岸生物調査班;アサリの生残実験の結果,中海では貧酸素水塊の発達や青潮の問題に加え浅場に海藻の腐敗がアサリの生存にとって負の要因になっていることが解った.また,沿岸の魚類にとって重要な役割を果たす海草群落を構成するコアマモの成長実験を行い,塩分,光,水温の最適条件を特定することができた. 2.水質調査班;今後の長期的モニタリングに備えて自動観測ステーションの設置とそのデータ転送装置の試験的な運用を開始した.水質センサへの生物付着を軽減するためセンサカバーをつけた場合に起こる弊害について,その解消法を検討した.また,インターネットを利用したデータ配信システムについてもほぼ実用化できる見通しを得た. 3.底質調査班;コア試料の分析から,過去に汽水域でおこった恒久的貧酸素水塊の発生条件を検討し,水深,堆積速度,底質TOC濃度についてほぼ特定することができた.また,中海沿岸に造成された自然再生湖岸の離岸堤内で砂の移動について毎月追跡調査を行なった.その結果,一部に沿岸湖底浸食が激しくなるところが見られ,親水性を阻害する危険な場所が形成されること,浅場には沖帯からオゴノリなどが流れ藻として漂着し腐敗して高い酸素消費が観測されたこと,などが明らかになった. 4.リモートセンシング班:ERS-1/2およびRadarsat-1に搭載されたSAR NRCSデータと地上同時観測データの関係から風向と風速の広域同時マッピングの可能性が示唆された.
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