研究分担者 |
古津 年章 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00314617)
國井 秀伸 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (70161651)
相崎 守弘 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20109911)
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30243421)
野村 律夫 島根大学, 教育学部, 教授 (30144687)
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研究概要 |
最終年度にあたり,沿岸生物,水質,底質,環境リモートセンシングの各班がそれぞれ調査を継続するとともに,これまでのデータのとりまとめを行なった. 沿岸生物に関しては,とくに海藻類の分布と栄養塩の取り込みに量について整理し,かつて肥料に利用するために盛んに行われていた海藻採取の環境浄化効果について見積もりを行った.また,底質間隙水と底層水のDO,塩分,H_2Sについて層別および月別に詳細に調査し,酸化還元境界の垂直及び水平的な季節変動を捉えることができた.その他,本科研も含め従来から蓄積されてきたデータが,中海本庄工区を囲む承水路堤防の開削効果や水門活用についてのシミュレーションに活かされた. これらの成果の一部は,2003年9月13日に岡山理科大学で開催された日本陸水学会の「汽水環境の修復と保全に向けて」と題した自由集会において紹介された.また,2004年1月10・11日には松江で同テーマで国際セミナー(International Seminar on Restoration of Damaged Lagoon Environments)をWWCN-JAPAN (World Water and Climate Network-Japan),(社)日本水環境学会中国四国支部,(財)しまね産業振興財団と共催で開催した.このセミナーでは本科研メンバーによる成果の紹介に加えて,アメリカ合衆国から環境生態学,環境経済学,環境教育の研究者を,またオランダから保全生態学の専門家を招き,それぞれの専門の立場から具体的研究事例が紹介された.これらの口頭発表の他に,35件のポスター発表(内,本科研関連の発表は21件)が行われた.本セミナーは一般にも公開され,参加者は280名以上にのぼった. この国際セミナーでは中海の環境修復と保全に向けて,(1)長期的環境モニタリングの重要性,(2)環境修復に向けた住民のコンセンサスの重要性,(3)生態系サービスの概念の導入と環境経済学的分析の必要性,(4)研究者と地域住民が一体となった環境教育プログラムの必要性,などに関するいくつかの重要な提言が行われた.
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