ATP合成酵素:サブユニットの複合体の回転を伴う反応機構

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13308037
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 二井 将光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50012646)
• 研究分担者: 孫 戈虹(和田 戈虹) 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00314427) ; 三本木 至宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10222027) ; 和田 洋 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50212329)
• キーワード: ATPase合成酵素 / 回転反応 / F_0F_1 / V型ATPase / F型ATPase

研究概要

ATP合成酵素(F_0F_1)は、ミトコンドリア、葉緑体、細菌細胞膜に局在し、生物におけるほとんどのATPを合成している。最も基本的な大腸菌のATP合成酵素は8種のサブユニットからなりα_3β_3γδεがF1を、ab_2c_<10〜14>がF_0を形成している。本研究によって13年度には次のような成果が得られた。
1)F_0F_1はab_2δα_3β_3部分が固定子γεc_<10〜14>が回転子を形成しているが、この回転は相村的なものである。すなわち固定子と回転子は取り替えることが出来る。
2)逆反応すなわちF1部分をとりATPase反応を行わせ、回転を解析した。その結果βサブユニットのGlu-149〜Ser0-174にわたるドメインの反応に伴う構造変化に伴ってγサブユニットが回転することが部位特異的に変異を導入したF_1の解析によって明らかになった。
3)V型ATPaseの固定子となりうるサブユニットEとGにイソフォームが存在することを明らかにした。V型ATPaseはF_0F_1と相同性があり、きわめてよく似ている。F_0とF_1に対応する部分はV_0とV_1とよばれている。GとEはV_1とV_0をつなぐ役割をしている。

研究成果

• [文献書誌] M.Tanabe, K.Nishio, Y.Iko, Y.Sambongi, A.Iwamoto-Kihara, H.Omote, I.Ueda, Y.Wada, M.Futai: "Rotation of a complex of the γ subunit and c ring of Escherichia coli. ATP synthase: the rotor and stator are interchangeable"J. Biol. Chem.. 276. 15269-15274 (2001)
• [文献書誌] Y.IkO, Y.Sanbongi, M.Tanabe, A.Iwamoto-Kihara, K.Saito, I.Ueda, Y.Wada, M.Futai: "ATP synthase F1 sector rotation; defective torque generation in the β subunit Ser-174 to Phe mutant and its suppression by second mutations"J. Biol. Chem.. 276. 47508-47511 (2001)
• [文献書誌] G.-H.Sun-Wada, H.Murakami, H.Nakai, Y.Wada, M.Futai: "Mouse Atp6f, the gene encoding the 23-kDa proteolipid of vacuolar proton translocating ATPase"Gene. 274. 93-99 (2001)
• [文献書誌] T.Oka, Y.Murata, N.Namba, T.Yoshimizu, T.Toyomura, A.Yamamoto, G.-H.Sun-Wada, N.Hamasaki, Y.Wada, M.Futai: "a4, a uniaque kidney-specific isoform of mouse vacuolar H^+-ATPase subunit a"J. Biol. Chem.. 276. 40050-40054 (2001)
• [文献書誌] T.Oka, T.Toyomura, K.HonJo, Y.Wada, M.Futai: "Four subunit a isoforms of Caenorhabditis elegans vacuelar H^+-ATPase cell-specific expression during development"J. Biol. Chem.. 276. 33079-33085 (2001)