研究課題/領域番号 |
13308046
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60181351)
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研究分担者 |
田村 弘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (80304038)
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キーワード | 視覚認識 / 大脳皮質連合野 / 抑制性伝達物質 / GABA / 受容野 / ビキュキュリン / 両眼視差 / 霊長類 |
研究概要 |
(概要)本研究では、霊長類の下側頭葉皮質(lT野)における視覚情報処理に関する下記の3テーマ6課題の解明を通して、物体視知覚の脳内機構の理解を進めることを目指している。 1.lT細胞の受容野形成メカニズム (1)伝達物質GABAの役割(2)受容野の形成過程 2.lT細胞による2次元図形特徴の情報処理メカニズム (1)抑制性IT細胞の形選択性の解析(2)IT細胞集団による視覚情報表現 3.lT細胞による両眼視差および面の情報処理 (1)V4細胞の両眼視差選択性(2)lT野およびV4やの両眼視差選択的活動と知覚の関係 本年度は、課題1(1)(2)、2(1)、3(1)の実験を完了し、1(1)と3(1)は論文公表済み、1(2)は論文執筆中、2(1)は投稿中である。2(2)、3(2)の実験を開始した。 (成果)1(1)個々のIT細胞への視覚入力は、受容野を超えた広い視野から発している。この視覚入力の収敏斂は受容野内で必ずしも均一ではない。IT細胞の受容野の形成には、抑制性伝達物質であるガンマアミノ酪酸を介する抑制性細胞間相互作用が関与している。 1(2)両側視野にまたがる大きな受容野の中で、視覚刺激が同側視野におかれても対側視野におかれても、細胞の選択的反応性は変わらない。両側のIT野間の神経結合は、直径300ミクロン程度のコラム構造同士の間でなされている。 2(1)相互相関解析法により同定した抑制性IT細胞は、興奮性IT細胞と同様の選5択性幅をもって特定の視覚刺激に対して選択的反応を示すが、近傍の興奮性細胞とは異なった図形に対して反応する傾向がある。 3(1)IT野への主要な入力源であるV4野細胞の多くが、両眼視差の変化に対して感受性を持ち、反応を変化させる。近傍に位置するV4野細胞の視差選択性は類似していることから、V4野の中に両眼視差を処理するためのモジュール構造が存在する可能性を提唱した。
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