研究課題
基盤研究(A)
1.ディファレンシャル・ディスプレイ、マイクロアレイ、GeneChip解析法によって、マウス小脳の生後発達ステージに特異的な遺伝子発現プロファイルをゲノムワイドに探索した。特異的な遺伝子群の時空間的発現パターンをRT-PCRとin situハイブリダイゼーション法で明らかにした。これらの発現情報を統合し、小脳形成トランスクリプトーム・データベースを開発した。この解析アプローチによって、多くの新規脳形成遺伝子候補をクローニングした。2.シナプス後肥厚部(PSD)アダプタータンパク質Cupidin/Homer2は海馬ニューロンの樹状突起形成においてグルタミン酸受容体関連タンパク質NR2BとPSD-95の複合体形成とPSDへの移行に連動すること、小脳顆粒細胞において活動依存的なPSDクラスターの形成をすること、Homer familyメンバーが発達中の脳で領域や細胞特異的に分布することなどを明らかにした。3.分泌顆粒のCa2+依存性開口放出に関係するCAPSのparalogであるCAPS2をクローニングした。CAPS2は小脳顆粒細胞の平行線維終末のニューロトロフィン(BDNFとNT-3)が含有される小胞様構造に豊富に局在した。また、初代培養顆粒細胞に外来性のCAPS2を過剰発現すると、脱分極刺激依存的なNT-3の分泌が増加し、その結果、プルキンエ細胞の生存率が向上した。以上のことから、CAPS2は小脳ニューロンの分化と生存に不可欠なニューロトロフィンの活動依存的な分泌を調節する分子であることが明らかになった。4.3つのリン酸化関連遺伝子(アポトーシス活性関連チロシンキナーゼAATYK、新規Ser/ThrキナーゼEbr、チロシンキナーゼアダプターCas)と新規ミエリン・パラノードループ特異的遺伝子の構造機能と脳発達における発現分布を解析した。
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