1.ネコの二次視覚野(18野)及び比較のために一次視覚野(17野)において、テクスチャー刺激を用い視覚刺激を行いながら反応を記録した。また同時に、従来使われてきた明るさの変化で定義される刺激パターンも使用した。テクスチャー刺激は高い空間周波数の正弦波のコントラストを振幅変調した画像パターンである。さらに、両眼同時刺激に対する反応をテクスチャー刺激、明るさパターンの刺激の両方について記録した。この実験により、以下の点が明らかになった。 (1)テクスチャー刺激に反応する細胞で、明るさで定義される刺激に対し両眼視差選択性を持つものは、そのほとんどがテクスチャー刺激の両眼視差にも選択性を持ち、この2種類の刺激についての最適両眼視差は同じである。このことは、神経細胞が異種の視覚手がかりについて反応特性が不変なこと、つまり「手がかり不変性」を持つことを意味する。 (2)明るさで定義される両眼からの入力信号とテクスチャーで定義される両眼入力信号は同一の段階で一度に統合される。この結果は、2つの目に異なる種類の刺激(1つの目には明るさで定義された正弦波、もう片方の目にはテクスチャーで定義された正弦波を提示する特殊な刺激)をコントロールとして使用することで示すことができた。 2.逆相関法を周波数領域(空間周波数と方位の領域)で行うことにより、短時間の間に一次及び2次視覚野における神経細胞の空間周波数と方位の結合特性を測定することが可能になった。従来の運動する正弦波刺激による測定よりも、格段に神経細胞の特性に関して得られる情報量が増えた。また、比較により従来法による結果との整合性を確認し、新手法が従来法を代替できるより良い方法であることを示した。 上記の二つの成果は日本神経科学大会と北米神経科学学会で発表された。
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