2002 年度実績報告書

血管内皮細胞における血流センサー分子の探索と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号	13308052
研究機関	東京大学
研究代表者	安藤譲二東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20159528)
研究分担者	山本希美子東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00323618)
キーワード	内皮細胞 / 血行力学因子 / 剪断応力 / カルシウム / 細胞内情報伝 / イオンチャンネル / プリノセプター / ATP
研究概要	これまでの検討で、培養血管内皮細胞に流れ刺激を作用させると、剪断応力の強さに依存した細胞外カルシウムの流入反応が起こること、この反応に内皮細胞に発現するATP作動性のカチオン・チャンネルであるP2X4が中心的な役割を果たすことを見出した。本年度は、この血流センサーとして働くATP作動性のカチオン・チャンネルの発現に及ぼす、剪断応力の影響について検討を加えた。人臍帯静脈内皮細胞に平行平板型流れ負荷装置で剪断応力(15dynes/cm^2)を作用させると、1時間でP2X4 mRNAレベルの低下が始まり、12時間でコントロールの約60%となり、24時間後も12時間後と同程度の低下を示した。P2X4蛋白は6時間でコントロールの70%、24時間で63%に減少した。の遺伝子プロモータ領域を含むDNAフラグメントを挿入したルシフェラーゼ・ベクターを内皮細胞に導入して剪断応力を24時間負荷したところ、転写活性がコントロールの58%に低下した。プロモータの欠失解析により、剪断応力によるP2X4遺伝子の転写抑制に重要な役割を果たしている応答配列が転写開始点より上流-112bp内に在ることが示された。さらに、変異を入れる実験により応答配列が-67〜-58bpに存在する転写因子SP-1の結合サイトであることが判明した。ゲル・シフト・アッセイにより、剪断応力を負荷した細胞ではSP-1の蛋白量が明らかに減少していることが示された。P2X4の発現が低下した内皮細胞では流れ刺激に対する感度が低下していた。このことから、生体には血流自身が内皮細胞のP2X4の発現変化を介して血流に対する感度を調整する機構があり、それが血管機能の恒常性の維持に働いている可能性が示唆された。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] M.Isshiki, J.Ando, K.Yamamoto: "Sites of Ca^<2+>wave initiation move with caveolae to the trailing edge of migrating cells"J.Cell Sci.. 115. 475-484 (2002)
[文献書誌] S.Ichioka, J.Ando: "In vivo model for visualizing flap microcirculatin of ischemia-reparfusion"Micorsurgery. 22. 304-310 (2002)
[文献書誌] R.Korenaga, K.Yamamoto, J.Ando: "Sp1-mediated downergulation of P2X4 receptor gene transcription in endothelial cells exposed to shear stress"Am.J.Physiol Heart Circ.Physiol.. 280. H2214-H2221 (2001)
[文献書誌] M.Shibata, J.Ando: "Microvascular and interstitial PO_2 measurements in rat skeletal muscle by phophorescence quenching"J.Appl.Physiol.. 91. 321-327 (2001)
[文献書誌] S.Kato, J.Ando: "mRNA expression on shape-engineered endothelial cells : Adhesion molecules IC1AM-1 and VCAM-1"J.Biomed.Mater.Res.. 54. 366-372 (2001)
[文献書誌] M.Negishi, A-Ando: "Upregulatory expression of furin and Transforming growth factor-β by fluid shear stress in vascular endothelial cells"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21. 785-790 (2001)
[文献書誌] 安藤譲二, 山本希美子: "バイオミメティクスハンドブツク:血管内皮細胞のバイオミメティクス"エヌ・ティ・エス. 1139 (2001)

2002 年度 実績報告書

血管内皮細胞における血流センサー分子の探索と機能解析

研究代表者

安藤 譲二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20159528)

研究成果

[文献書誌] M.Isshiki, J.Ando, K.Yamamoto: "Sites of Ca^<2+>wave initiation move with caveolae to the trailing edge of migrating cells"J.Cell Sci.. 115. 475-484 (2002)

[文献書誌] S.Ichioka, J.Ando: "In vivo model for visualizing flap microcirculatin of ischemia-reparfusion"Micorsurgery. 22. 304-310 (2002)

[文献書誌] R.Korenaga, K.Yamamoto, J.Ando: "Sp1-mediated downergulation of P2X4 receptor gene transcription in endothelial cells exposed to shear stress"Am.J.Physiol Heart Circ.Physiol.. 280. H2214-H2221 (2001)

[文献書誌] M.Shibata, J.Ando: "Microvascular and interstitial PO_2 measurements in rat skeletal muscle by phophorescence quenching"J.Appl.Physiol.. 91. 321-327 (2001)

[文献書誌] S.Kato, J.Ando: "mRNA expression on shape-engineered endothelial cells : Adhesion molecules IC1AM-1 and VCAM-1"J.Biomed.Mater.Res.. 54. 366-372 (2001)

[文献書誌] M.Negishi, A-Ando: "Upregulatory expression of furin and Transforming growth factor-β by fluid shear stress in vascular endothelial cells"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21. 785-790 (2001)

[文献書誌] 安藤 譲二, 山本 希美子: "バイオミメティクスハンドブツク:血管内皮細胞のバイオミメティクス"エヌ・ティ・エス. 1139 (2001)

2002 年度実績報告書

安藤譲二東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20159528)

[文献書誌] 安藤譲二, 山本希美子: "バイオミメティクスハンドブツク:血管内皮細胞のバイオミメティクス"エヌ・ティ・エス. 1139 (2001)