研究課題/領域番号 |
13308054
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
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研究分担者 |
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (00243048)
鈴木 康夫 東海大学, 医学部, 助教授 (90129495)
鈴木 義久 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30243025)
尾形 信一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00314542)
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キーワード | アルギン酸 / 細胞外マトリクス / 組織工学 / 再生医療 / アパタイト / 骨形成ペプチド / ハイブリッド体 |
研究概要 |
(1)アルギン酸ゲルの構造、分解・吸収性と組織修復・再生 50-200μmの粒子径の粉末状ゲルに、我々が新規に見いだした骨形成作用を持つペプチドを組合せた材料が、骨欠損部の速やかな修復を達成した。さらに骨髄細胞を共存させることにより有意に骨修復が促進された。本材料が、骨髄中の未分化な骨前駆細胞の分化と活性化を誘導した結果と考えられる。筋肉内での異所性骨形成の時間経過を検討したところ、天然の蛋白性因子の骨形成作用が5週間程度で消失するのに対し、本材料では7週間以上も骨形成作用が持続することが分かり、材料の安定性と有効性が実証された。 末梢神経、中枢神経の修復再生においては、200-500μmの細孔径で、30日以内に分解・吸収されるスポンジ状ゲルが最適で、神経断端との縫合が不要であるという画期的な結果を得た。 (2)修復・再生活性を持つタンパク質類の保持・徐放性能 50-200μmの粒子径の粉末状ヘパリン/アルギン酸ゲルが、血管新生因子の保持・徐放に優れており、顕著な血管新生誘導作用を示すことがわかった。本材料は注射可能であり、低侵襲で任意の場所に血管新生を誘導できる。 200-500μmの細孔径を有するスポンジ状ヘパリン/アルギン酸ゲルが、繊維芽細胞だけでなく上皮細胞の遊走と増殖を促進し、皮膚の再生修復に優れた効果を示すことを動物実験で明らかにした。 膵臓の修復・再生作用を持つタンパク質をヘパリン/アルギン酸ゲルから徐放するため、ヘパリン結合性を付与した変異蛋白の作製方法を検討し、ほぼ確立できた。 蛋白性因子の構造と活性の観点から、新規な細胞死抑制作用を持つペプチドを見いだした。これらのペプチドはアルギン酸ゲルと組合せて、組織修復・再生を促進することが期待される。 (3)アルギン酸ゲル-アパタイトナノハイブリッド体の作製 バイオミメティックプロセスにより、アルギン酸ゲルとアパタイトをナノレベルでハイブリッド化することに成功した。本材料はゲル表面だけでなく、ゲル内部においてもハイブリッド化されている世界でも初めての材料であり、新規な骨・軟骨修復促進材料として期待される。
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