研究課題/領域番号 |
13308054
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
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研究分担者 |
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (00243048)
鈴木 康夫 東海大学, 医学部, 助教授 (90129495)
鈴木 義久 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30243025)
尾形 信一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00314542)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | アルギン酸 / 細胞外マトリクス / 組織工学 / 再生医療 / アパタイト / 骨形成ペプチド / ハイブリッド体 / 細胞死制御 |
研究概要 |
本研究では、多細胞生物に存在する細胞外マトリクスの機能に着目し、その構造を模倣して、組織や臓器の再生・修復を促進する人工細胞外マトリクスを創成することを目的とした。 1.アルギン酸人工細胞外マトリクスによる骨修復 骨形成因子(BMP-2)の立体構造に基づいて設計した骨形成ペプチドが、骨前駆細胞の(1)細胞表面受容体と結合し、(2)ALP活性の増大と(3)オステオカルシンの発現を促進することを示した。アルギン酸人工細胞外マトリクスに結合してラット筋肉内に埋植すると異所性の骨化を誘導した。ウサギ前腕骨の2.5mm欠損の修復実験で埋植9週間後に欠損部の有意な修復が認められた。 2.ヘパリン/アルギン酸人工細胞外マトリクスの増殖因子徐放 ヘパリン/アルギン酸人工細胞外マトリクスが塩基性線維芽細胞増殖因子などのヘパリン結合性増殖因子を長期間保持・徐放できることを明らかにした。動物実験で血管新生、皮膚、神経、腎部分切除モデルにおいて再生・修復を促進した。 3.細胞死制御材料 細胞死を制御するリガンドである、TNFα、FasL、TRAILに着目し、構造の特徴から各リガンドに特異的に結合して活性を阻害できる細胞死抑制ペプチドを創成した。細胞死抑制ペプチドは、ラット海馬由来の神経幹細胞の生存と分化を顕著に促進することを見出した。また、骨髄間質細胞の神経細胞への分化も促進することが見出された。 4.アルギシ酸ゲル-アパタイト3次元ハイブリッド体 アルギン酸人工細胞外マトリクスにシラノール基を導入することで、ゲル内部にまでアパタイトをハイブリッド化することに成功した。本材料はラット脛骨に作製した骨欠損修復を有意に促進した。 まとめ アルギン酸人工細胞外マトリクスは、細胞外マトリクスの(1)細胞の足場となる作用、(2)増殖因子を保持・徐放する機能、(3)細胞の増殖・分化・死を制御する機能を兼備えることができた。この機能を生かして、骨、神経、皮膚、血管、腎臓の再生・修復に有用な材料を開発することができた。今後、さらに研究を積み重ねることによって、適用範囲の拡大、性能の向上、実用化が期待される素材である。
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