研究概要 |
真核生物の起源に関しては、従来は真正細菌と分岐した古細菌から分岐したと考えられていた。 研究代表者篠沢のグループは多数の遺伝子情報の類似性をその類似度に従い、比較選別する新たな方法であるホモロジーヒット法を開発した。これにより6種類の古細菌および9種類の真正細菌、更には、真核生物の代表としての酵母の全ゲノムDNA情報を分析し、真核生物は真正細菌に古細菌が共生することで形成された事を解明し、核共生説を提案している(Nature Cell Biology,2001)。 この研究の発展として、 (1)上記の方法を改善し(酵母遺伝子の機能群ごとにそれぞれの古細菌及び真正細菌からの由来を解析し、細胞膜の由来を解明する事等により、核共生説を更に確認した(Symbiosis 投稿中)。 (2)ホモロジーヒット解析は遺伝子情報のみならず、求人求職情報等大量な情報を比較解析選別するのに極めて有望である。この観点で情報処理の新規な方法として工業所有権の出願を日本国内(20001-183856)及びアメリカ・カナダ(PCT出願)に行った。 (3)核共生の誘引としての活性酸素処理の背景の解明のために、いくつかの真正細菌のカタラーゼ遺伝子のクローニングや酵素の精製とその性質の同定を行った(DNA Sequence,2001)(Biosci.Biotechnol.Biochem(in Prees))。 (4)核共生説の検証のために、従来のリボソームRNAを用いた系統樹解析に対して酵母に類似な遺伝子を古細菌及び真正細菌のそれぞれが保有する遺伝子数に基づく、新たな系統樹解析を試みた。その結果、それぞれの細菌の系統関係はこの方法でも従来のリボソームRNAを用いた方法と一致することを明らかにした(論文作成中)。
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