研究概要 |
(1)出芽酵母やセンチュウ、ドロソフィラなどの真核生物の遺伝子と50数種類の古細菌と真正細菌のFASTAプログラムによりオルソロガス遺伝子の数に基づく系統樹を作成した。それに基づき核共生に関与した古細菌(パイロコッカス)と真正細菌(プロテオγ)を同定し、論文を投稿中である。 (2)核共生機構の解明のためには、各微生物間の正確な系統樹が必須である。リボソームRNA(小サブユニット)の系統樹を1000種類自動作成するプログラムを作成し、従来のものより正確な系統樹を作成した。とりわけこれまで進化的位置が不正確であったシアノバクテリアの位置を決定した。2003年日本分子生物学会年会発表。於神戸)。 (3)核共生に関与した重要な遺伝子の候補として、ストレスタンパク質及び活性酸素処理(スーパーオキシドジスムターゼ、SOD、及びカタラーゼ遺伝子)遺伝子に焦点を当てた。ストレスタンパク質のデータベースの作成とインターネット上の公開を行った。更にストレスタンパク質のドメイン構造等に基づく、整理された命名法を提案し論文を投稿中である(In Silico Biology,レフリーコメントに基づき改訂中)。 (4)カタラーゼ遺伝子を好塩性バクテリアからクローニングし、タンパク質の大腸菌による大量生産により、その性質を解析した。更に熱安定なカタラーゼのカロボキシル末端を遺伝子工学的に結合させることで熱安定なキメラ酵素を作成した(Biosci.Biotechnol.Biochem.印刷中)。 (5)最も原始的な真核生物ジアルジアからのSOD遺伝子のクローニングを行い、系統樹を作成した。 (6)細胞共生に関して、ユニークな生物であるゾウリムシからFe-SOD遺伝子をクローニングし、その塩基配列からクロレラ由来でないことを明らかにし、DNAデータバンクに登録した。
|