高解像度地理画像の変化域抽出

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13309006
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 小杉 幸夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30108237)
• 研究分担者: 土居原 健 アジア航測(株), 総合研究所, 部長
• キーワード: 地理画像 / 航空写真 / 衛星画像 / 変化域抽出 / 一致強化 / 非線形写像 / 防災 / 環境保全

研究概要

本研究では一致強化の原理に基づく、2画像間の非線形写像を用い、写像の際のマッチングスコアの低下部分より地理画像上の変化部を抽出し、災害や環境変化の迅速な分析を行うシステムの高精度化を目指している。
本年度はまず、市街地における変化域の検出精度を向上させるためにマッチングスコアの評価方法および入力画像の前処理を種々変更し、変化域抽出精度をROC法によって評価・検討した。その結果、画像の前処理として、直交する2方向についての空間微分演算を含む複雑さの指標の抽出を行い、マッチングスコアとしては、RGB空間内でのノルムが良好な結果を与えることが判明した。また、日照の影が顕著な画像では、B成分のみを抽出した処理が良い結果を与えた。
人工造営物の変化抽出を行う場合、協調領域のサイズが変化域よりも小さくなるように適切に選ばれている限り協調領域の形状が抽出能力に重大な影響を及ぼすことはない。しかし、地震による断層など急激な変化を抽出する場合にはマッチングスコアの悪い領域を評価するだけでは良好な抽出結果が得られない。これは協調の操作が滑らかなベクトル移動を獲得しようとすることによって生じている。このような問題に対応するため、位相ベクトルに対するクラスタリングという考え方を導入し、断層のシミュレーション画像についてその有効性を確認した。
また、トルコ地震後のイズミット市近郊の断層の現地調査を行い、今後の画像処理評価に対する考察を行った。

研究成果

• [文献書誌] Yukio Kosugi, Yuri Nojima, Kuniaki Uto: "Coincidence Enhancement As A Brain-like Inforination Processing Principle Applicable to The Adaptive Nonlinear Mapping of Images"Proc. SCI2001/ISAS2001. Vol.X. 331-336 (2001)
• [文献書誌] 三上直人, 福西宗憲, 小杉幸夫, 明野和彦, 飯村威: "地理画像解析における隣接関係の評価とその適応的セグメンテーションへの適用"第12回機能図形情報システムシンポジウム講演論文集. 第12回. 17-24 (2001)
• [文献書誌] 福西宗憲, 坂元光輝, 宇都有昭, 小杉幸夫: "マルチクラスター協調による不連続面の検出"第12回機能図形情報システムシンポジウム講演論文集. 第12回. 9-15 (2001)
• [文献書誌] Y.Kosugi, M.Fukunishi, M.Sakamoto, W.Lu, T.Doihara: "Detection of Sheer Changes in Aerial Photo Images Using An Adaptive Nonlinear Mapping"Proc. 3^<rd> ISPRS Workchop on Dynamics and Multi-Dimensional GIS. 145-146 (2001)
• [文献書誌] Mitsuteru Sakamoto, Yukio Kosugi, Masanori Nakamura, Takeshi Doihara: "Change Detection of Geographical Features with An Adaptive Nonlinear Mapping Process"Proc. LUCC2001, Session 5, R8. (CD-ROM). 7 (2001)
• [文献書誌] Naoto Mikami, Yukio Kosugi: "A Mutual Region Growing Method for Land Cover Classification Problems"Proc. LUCC2001, Session 5, R9. (CD-ROM). 7 (2001)