研究課題
基盤研究(A)
1960年代、天然ダイヤモンドによる放射線検出器の有効性が確かめられたが、良好な素材の入手が困難であるため、この研究はそれ以降行われてこなかった。近年、人工ダイヤモンドが急速に発達し、良好な素材が得られることになり、我々はこのダイヤモンド放射線検出器の開発を再開し、研究を行っている。Ha型ダイヤモンドを用いた検出器にAm・241からの5.486MeVのα線を入射させたところ15.4keV(FWHM)のSi検出器に匹敵したエネルギー分解能を有していることが確かめられたことは大きな成果だろう。また、C〜Feまでの高エネルギー重粒子線(〜数100MeVln)を照射すると、付与されるエネルギーロスは入射粒子の原子番号(Z)の2乗に比例した直線が得られた。Fe重粒子を破砕させ、dE×E法を用いて元素弁別を行った実験では、Fe(Z=26)と、Mn(Z=25)を弁別して測定することに成功した。ダイヤモンドは原子番号が低いため、コンプトン効果を起こしやすく、〜10keV程度までの低エネルギーガンマ線までコンプトンリコイル検出器として有効であると理論的に考えられていたが、実際にAm・241からのガンマ線においてコンプトン効果を確かめることができた。また、モンテカルロ・シミュレーションによっても10keV〜10MeVまで、ダイヤモンドがコンプトンリコイル検出器として有効であることが確認された。これらの良好な結果を得ることができたのは、ダイヤモンドを従来の様に絶縁物として扱うのではなく、半導体として扱い、ショットキー電極、オーミック電極を着けることで達成された結果である。特に、これらの電極が製作できたことで、ダイヤモンド検出器としては従来問題となっていたポーラリゼーション効果(放射線を照射すると波高値が減少する効果)が全く無くなったことも大きな成果である。
すべて 2006 2003 その他
すべて 雑誌論文 (5件)
IEEE Transactions on Nuclear Science 53
ページ: 600-635
IEEE Transactions on Nuclear Science Volume 53, No.2
ページ: 630-635
神奈川大学工学部研究所所報 26
ページ: 95-104
Astrophysics and Space Science (in print)