研究概要 |
本研究では、微小電子増倍管群を質量分析計のイオン検出側に取付け、アルゴン同位体36,37,38,39,40を同時に検出し、定量分析する装置を試作することを目的とする。 初年度に納入した微小電子増倍管群と位置演算装置アセンブリを組み立て質量分析計に装着し動作試験を行う予定であった。位置演算装置アセンブリは高真空中に保存されねばならない。度重なる質量分析計の電源系、真空系不良のため・分析管内部の真空度が高い水準で安定せず、アセンブリを装着することができなかった。イオン検出系が通常の1次元であれば、イオンを発生させないで擬似的にパルスジェネレーターを用いて計測・解析系の動作試験が行える。今回の装置は検出される信号(イオンパルス)のX-Y二次元座標系での同時性がないと信号はカウントされない。同時性の条件を満たす擬似信号パルスを発生させるソースを視野に入れて検討中である。 一方、大学内の商用交流100Vの不足分を補う発電機の開始、終了に伴う動作不安定性(±3V)が、質量分析計の安定動作に多大の影響を及ぼすことが判明した。他の質量分析計を用いて、交流安定化電源の採用、直流高圧発生電源の安定化等の検討を行い、問題は解決した。計測・解析を行うコンピューターとイオンカウンティングを行う測定系の間はLANケーブルで結ばれ、制御系のプログラム開発と測定系のインターフェイスは終了した。標準空気や高純度ガスを超低濃度に分割する抽出精製系を製作した。次年度では、抽出系の超高真空、質量分析計の安定動作確保を早い段階で実現し、実際のガスを用いた動作試験を行う。 本研究と間接的に関わる地質試料の年代測定の研究成果は論文として印刷されている。
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