研究概要 |
本研究では、微小電子増倍管群を質量分析計のイオン検出側に取付け、アルゴン同位体36,37,38,39,40を同時に検出し、定量分析する装置を試作することを目的とする。 初年度に納入した微小電子増倍管群と位置演算装置アセンブリを組み立て質量分析計に装着し動作試験を行った。大気アルゴン36、38、40は同時に検出されたが、多量のアルゴン40の信号のために約1/300のアルゴン36や約1/1600のアルゴン38に見落としがあり定量性に問題があった。今回の位置演算装置アセンブリはX-Y二次元座標系である。その点で個々の同位体の信号分布が見られ、質量分析計のイオン光学系調整に有効であることが分かった。 定量性を見いだすために検討した結果、適当なサイズの微小電子増倍管を一次元配列させることを思いついた。空間的にそれを可能にする方法として直線型チャンネルトロンの製作を検討した。同じ手法でガス質量分析計を製作している企業(株)デューンの協力でそれを可能にした。それは直径2ミリ程度であり、十分に一次元系のマルチコレクターの実現を期待できる。我々が実現した二次元系と(株)デューンの一次元系を兼ね備えた小型質量分析計はイオン光学系調整の便利さを実現し高感度なアルゴン定量分析が可能である。独立して行ってきた二つの研究開発型企業と研究機関が協力して全く新しい超小型の高感度高精度質量分析計の共同開発体制が実現した。 本研究と間接的に関わる地質試料のK-Ar及びAr-Ar年代測定に関する研究成果は論文として印刷されている。
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