研究課題/領域番号 |
13355003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾浦 憲治郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029288)
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研究分担者 |
大門 秀朗 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助手 (20324816)
本多 信一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90324821)
片山 光浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70185817)
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キーワード | 形態制御 / ランダムCNT / 垂直配向CNT / 自己組織化触媒重属微粒子 / 内部構造 / 結晶性 / 電解電子放出特性 / 表面欠陥 |
研究概要 |
本研究では、自己組織化プロセスにより形成された触媒金属微粒子を用いて化学気相成長(CVD)装置を用いて成長形態の異なるカーボンナノチューブ(CNT)を作製することに成功した。CNTに対し、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を中心とした構造評価と、CNTの電界電子放出(FE)特性評価を行い、構造と電子放出特性との相関を調べた。熱CVDを用いることにより、基板に対してランダム方向にCNTを成長させ、プラズマCVDを用いることにより、基板に対して垂直に配向したCNTを成長させることが可能となった。TEMを用いた構造評価により、ランダムCNTはBamboo-like構造で、自己組織化金属微粒子の形が節の形状に反映しており、結晶性は悪かった。一方、垂直配向CNTは多層で、自己組織化金属微粒子は楔形をしており、結晶性がランダムCNTと比較して高いということが分かった。これらの結果は、自己組織化金属微粒子の形状が、CNTの形態(配向性、内部構造など)に大きく影響を及ぼしていることを示唆している。次に、FE特性評価を行った結果、ランダムCNTの方が、垂直配向CNTと比較して、良いエミッション特性を示した。得られたFE特性を解析した結果、CNTの形状因子のみではなく表面電子状態がエミッション特性に大きく影響していることが分かった。すなわち、ランダムCNT、垂直配向CNTともに、表面欠陥がフェルミエネルギー付近に局所準位を誘起し、電子のトンネル確率が大きなエミッションサイトとしてFE特性に大きく寄与するものと考えられる。
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