ナノトライボロジーのための高速・高信頼性シミュレーションソフトウェアの開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13355007
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 宮本 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50093076)
• 研究分担者: 加藤 康司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005443) ; 大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345) ; 加藤 孝久 産業技術総合研究所, 機械システム研究部門, 総括研究員 (60152716) ; 久保 百司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90241538) ; 森 誠之 岩手大学, 工学部, 教授 (60091758)
• キーワード: ナノトロライボロジー / 高速・高信頼性 / シミュレーションソフトウェア / TRIBOSIM / 潤滑剤 / グランドカノニカルモンテカルロ法 / ポテンシャル / トラクション係数

研究概要

近年、環境・エネルギー対策等の要請から、微小領域の摩擦・潤滑(トライボロジー)に対する重要性が高まっている。トライボロジーは自動車の無段変速機・マイクロマシンなど分野を越えた多岐にわたる技術のカギを握るテクノロジーである。研究代表者らは10年以上も前からトライボロジー推進を目的とした研究を行い、数多くの新規理論計算化学プログラムの開発に成功している。そして、ついに数年前にナノトライボロジー現象の解明を目的とした分子シミュレーションプラットフォームTRIBOSIMの開発に成功し、トラクションフルードやハードディスク用潤滑剤を対象に独自の研究を展開してきた。そこで、本研究ではTRIBOSIMを高速かつ高信頼性を持つシミュレータにすることで、定量的な予測が可能なシステムの構築を目的とする。トライボロジーシミュレーションにおいては、潤滑剤の初期配置の選択によって計算結果が左右されることが指摘されている。そこで、グランドカノニカルモンテカルロ法を用いて、潤滑剤の初期配置を決定する方法論を開発し、計算結果の初期配置依存性をなくした。これにより、高精度な計算が可能になった。それ以外にも、トラクション係数を定量的に予測する方法として、膜厚を現実系にあわせるための新しい方法論の開拓にも成功した。さらに、高精度の分子動力学ポテンシャルの開発にも成功した。さらに、計算から得られたトラクション係数などの物性値を実験結果と比較し、本研究で開発した様々なアルゴリズムが、トライボロジーシミュレータTRIBOSIMの高精度化を実現していることを確認した。

研究成果

• [文献書誌] T.Yokosuka et al.: "Development of New Tight-Binding Molecular Dynamics Program to simulate Chemical-Mechanical Polishing Processes"Japanese Journal of Applied Physics. 印刷中.
• [文献書誌] Y.Yokoi et al.: "Monte carlo Simulation of Pyridine Base Adsorption on Heulandite(010)"Applied Surface Science. 印刷中.
• [文献書誌] H.Tamura et al.: "Effect of S and O on the Growth of CDV Diamand(100) Surfaces"The Journal of Chemical Physics. 115. 5284-5291 (2001)
• [文献書誌] M.Kudo et al.: "Atomistic crystal Growth Simulation of Metal Oxide Materials"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 26. 989-992 (2001)
• [文献書誌] X.Wan et al.: "A theoretical study of Interaction of Oxygen with Noble Metal Clusters"Scripta Materialia. 44. 1919-1923 (2001)
• [文献書誌] H.Zhou et al.: "Quantum chemical Calculation of Sulfur Doping Reaction in Diamond CVD"Japanese Journal of Applied Physics. 40. 2830-2832 (2001)