研究課題/領域番号 |
13355014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松重 和美 京都大学, 工学研究科, 教授 (80091362)
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研究分担者 |
石田 謙司 京都大学, 工学研究科, 講師 (20303860)
堀内 俊寿 京都大学, 工学研究科, 助手 (10238785)
山田 啓文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40283626)
原田 仁平 (株)理学電機 X線研究所, 所長
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キーワード | 特殊環境 / 白色X線 / X線フィルター / 全反射 / 表面構造 |
研究概要 |
本研究は、特殊環境下における薄膜や表面の構造変化を"非破壊"・"その場"観測する手法として白色X線を用いたエネルギー分散型全反射X線分析システムを開発・改良することにある。本年度は、白色X線分析システムに不可欠なX線バンドパスフィルターの改良と共に、有機ガスや紫外線照射による光触媒TiO_2表面構造の変化、および強誘電体有機分子の熱的構造変化の解析を行った。まず、白色X線分析の測定ダイナミックレンジを広げるため、屈折・透過型X線バンドパスフィルターの試作・改良を行った。本フィルターとしては、X線透過率が小さい部材上に電子密度の高い薄膜材料を調整したものが望まれるため、Be極薄膜、Au薄膜/Be極薄膜、Si極薄膜を試料として作製し、その反射・透過スペクトルのX線入射角依存性を測定した。反射スペクトルにて臨界エネルギー(Ec)以下のX線エネルギー領域が、透過スペクトルにてEc以上のX線エネルギー領域が有効に取り出される傾向をつかんだ。この屈折透過型X線フィルターをエネルギー分散型X線反射率測定に応用したところ、フィルター無しの場合に比較して、反射率にして1-2桁高いダイナミックレンジを確認し、その可能性を示した。次に、次世代太陽電池や大気汚染物質除去などへの応用が期待される光触媒材料TiO_2単結晶の表面構造解析を特殊環境下(有機ガス雰囲気、紫外線照射)において行った。ルチル型TiO_2単結晶の(110)、(200)、(002)表面を各種有機ガス(H_2O, C_2H_5OH, CH_3OH, CH_3COCH_3)に暴露しながら紫外線を照射し、その格子変調を観測した結果、メチルアルコール蒸気下での紫外線照射により(110)表面の表面構造が変調される現象を見いだした。他の単結晶表面では(110)表面と比較して顕著な変化は観測されず、(110)面が光触媒活性が強い事が確認された。加えて、有機強誘電体薄膜の熱的構造変化を観測し、本手法が回折強度の弱い有機薄膜への応用も可能であることを示した。
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