研究概要 |
研究計画に記載した各項目について得られた成果を述べる。 (1)弾道電子生成・放出の高効率化と安定化 ・PS層の構造制御,陽極参加条件の最適化,およびトップコンタクト形成のクリーンプロセス化などにより,PS層でのホットエレクトロン生成効率を向上し,電子放出効率を向上することができた。また,接触面積の大きいコンタクトの形成によって,弾道電子放出が安定化できることを確認した。 ・これらを基に,PS中のシリコン微結晶の表面終端原子とドライまたは電気化学的手法による終端技術を検討し,最適な終端種の下で,エミッション動作の飛躍的な安定化につながる手がかりを得た。 2)ディスプレイ応用の基礎的検討 ・特性を向上させた素子の放出電子エネルギー分布,放出角度分散,動的応答性,エミッションの均一性および真空度依存性などを実用的な観点からくわしく評価し,面放出弾道電子源としての総合評価を行い,その特長を明らかにした。 ・放出電子のエネルギー分布,放出角度分散などの結果をふまえて,平面ディスプレイ素子の基本設計を行い,駆動方式も含めた検討を行った。 (3)平面ディスプレイ素子としての動作検証 ・電子放出面が直接露出していないことに起因して電子放出特性の真空度依存性が小さいこと,シリコンプロセスが直接利用できること,電子の集束機構が不要で,蛍光体についても既存の材料塗布技術をそのまま利用できることなどを生かし,視認性のよい超薄型自発光形フラットパネルディスプレイへ応用した。ガラス基板上に堆積した多結晶シリコン膜を用いた2.6インチ86×64画素フルカラー平面ディスプレイを試作し,励起電子源としての有効性を実証した。
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