研究分担者 |
上村 繁樹 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (60300539)
井町 寛之 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20361933)
原田 秀樹 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70134971)
屋井 裕幸 雨水貯蔵浸透技術協会, 技術第1部, 研究員(研究職)
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研究概要 |
途上国に下水処理システムを普及させていくためには,今ある日本の"技術"をそのまま移転すれば事足りるのではなく,地域の経済構造,社会構造等の実状に適した技術を創生しなければならない。このような背景を下に,我々は,低コスト(省エネルギー(エアレーションが不要)・創エネルギー(メタンガス回収))で維持管理が容易な簡易型下水処理プロセスの開発に携わってきた。本提案処理プロセスは,UASB法とスポンジカーテン型リアクターを組み合わせた新規の処理システムで,エアレーション不要・余剰汚泥生成ゼロの省エネルギー・低環境負荷型であり,クラシックの活性汚泥法に取って代わることが期待できる可能性を秘めており,実用化の一歩手前まで来ている。本研究は,実用化のために必要となる,なぜ良好な処理性能を有するのかと云った詳細のメカニズムや実規模サイズの場合に直面する問題点を明らかにすることにある。 インドのデリー北部のカーナル市に一昨年5月に設置したDHSバイオタワーは,UASB処理水500m^3・d^<-1>(HRT=1.49hr)とし,循環比100%で処理水を循環する実下水の連続処理調査を現地にて今年度も実施した。その結果,新規システム(UASB+DHS)は非常に卓越した有機物CODcr除去率88%,BOD除去率93%,ふん便性大腸菌においては10^3オーダーまで除去できており,全期間を通じて安定した運転を維持した。DHS装置の強度的に弱かった部位が破損するトラブルもあったが,現在のところ長期の連続実験にも耐え,実規模での目処がついた。この良好な処理性能を受けて,インド政府との共同によるアグラ市に実下水DHSプラントの計画が進行中である。国内においては下水処理場に改良型ミニチュアDHSプラントを設置し,処理メカニズムの解明に必要な微生物濃度と活性を評価した。
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