研究課題/領域番号 |
13355033
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 佳男 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60029501)
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研究分担者 |
橘 浩三 ダイセル化学工業(株), 筑波研究所, 研究員
山本 智代 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (80314045)
幅上 茂樹 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (30252266)
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キーワード | 多糖誘導体 / 高速液体クロマトグラフィー / 光学分割 / 固定化 / キラル充填剤 / スチレン / 共重合 |
研究概要 |
高い光学分割能を有し市販されているセルロースやアミロースなどの多糖誘導体型のカラムは、多糖誘導体をシリカゲルにコーティングして調製しているため、多糖誘導体が可溶であるクロロホルムやテトラヒドロフランなどの溶媒を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用の移動相として用いることができない。そこで、これらカラムの耐久性をあげるため、多糖誘導体をシリカゲルに固定化させた充填剤を調製する方法について検討を行った。優れた光学分割能を有するセルロースの3,5-ジメチルフェニルカルバメート誘導体の一部に重合性官能基であるビニル基を導入し、シリカゲル上でスチレン等のモノマーと共重合することで、多糖誘導体のシリカゲル上への固定化を試みた。多糖誘導体へのビニル基の導入は、セルロースのグルコース環の6位へと選択的に導入した。ビニル基の導入率は低い程、多糖誘導体の規則的な構造が保たれ、また用いる架橋剤であるスチレンの量を低く抑えることで、多糖誘導体のみを用いた従来の物理吸着型の充填剤と同様の高い光学分割能を有する充填剤の調製が可能であった。そこで、さらに多糖誘導体へのビニル基の導入率やスチレンの量を減らして固定化を行うために、シリカゲル上にもビニル基を導入した。その結果、効率のよい多糖誘導体の固定化に成功し、得られた充填剤は、通常溶離液に用いるヘキサン/2-プロパノールに、クロロホルムを添加した系でも使用が可能であった。また、高い光学分割能を有しているにもかかわらず、その高い溶解性のためヘキサン/2-プロパノールで使用することができない、セルロースの3,5-ジクロロフェニルカルバメート誘導体についても同様の方法を用いることで、誘導体の固定化に成功し、耐久性の高い充填剤が得られた。
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