HSCT模擬環境での耐熱複合材料耐久性評価の微視損傷その場観察装置の試作研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13355035
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 武田 展雄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10171646)
• 研究分担者: 小林 訓史 東京都立大学, 工学部, 助手 (80326016) ; 荻原 慎二 東京理科大学, 理工学部, 講師 (70266906) ; 岡部 洋二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (90313006)
• キーワード: 炭素繊維強化プラスチック / 耐熱樹脂基繊維強化複合材料 / ポリイミド樹脂 / 90度層クラック / ビスマレイミド樹脂 / 負荷・除荷過程 / 層間剥離 / その場観察

研究概要

本研究の目的は、HSCT模擬環境下での耐熱樹脂基繊維強化複合材料定量的な微視的実験評価手法(複合材料の実験マイクロメカニクスと呼ぶ)を提案し、現存、または、開発中のいくつかの耐熱ポリイミド基繊維強化複合材料に適用することにより、新規複合材料開発のための手法として確立することにある。具体的には、高温・高湿度雰囲気制御を行いつつ、負荷・除荷過程中における複合材料の微視的変形・破壊プロセスをその場観察するシステムとして、任意の負荷・除荷サイクルが与えられる負荷ステジをもつ、負荷下光学顕微鏡その場観察ビデオシステムを開発中である。実用複合材料の試験が可能である20KNまでの試験システムで点に特徴がある。現在、標準材としての180℃硬化のエポキシ樹脂(TGDDM/DDS系)をマトリックスとするカーボン繊維強化複合材料の、基本的なクロスプライ積層板[0/90/0]を用いて実験を行っている。(1)90度層内の初期マトリックスクラック発生、(2)マルティプルマトリックスクラック発生、(3)マトリックスクラック端部からの層間剥離発生、の各段階におけるミクロな変形・破壊プロセスを、負荷中のその場観察により定量的に明らかにしマイクロメカニクスの理論解析の実験的検証を行った。また、ビスマレイミド系高分子をマトリックスとするカーボン繊維強化高分子基複合材料についても同様の手法を用いて適用中である。これらの微視的観察をもとに、損傷発生・進展プロセスの定式化も行っている。

研究成果

• [文献書誌] Y.Okabe, N.Takeda: "Quantitative Evaluation of Interlaminar-Toughened CFRP Composite by Ultrasonic Wave Propagation Characteristics"Journal of Composite Materials. Vol.36No.6. 757-769 (2002)
• [文献書誌] 荻原慎二, 石黒陽基, 武藤哲彦, 小林訓史, 武田展雄,小林昭: "熱サイクル負荷によるCFRPクロスプライ積層板のマトリックスクラック発生挙動の実験的評価"日本複合材料学会誌. Vol.28No.3. 93-102 (2002)
• [文献書誌] F.-M.Zhao, T.Okabe, N.Takeda: "Effect of Matrix Properties on Fragmentation Behavior of Single Fiber Composites"Composites Interfaces. Vol.9No.3. 289-308 (2002)
• [文献書誌] S.Ogihara, N.Takeda, S.Kobayashi, A.Kobayashi: "Damage Mechanics Characterization of Transverse Cracking Behavior in Quasi-Isotropic CFRP Laminates with Interlaminar-Toughened Layers"International Journal of Fatigue. Vol.24. 93-98 (2002)
• [文献書誌] S.Kobayashi, N.Takeda: "Experimental and Analytical Characterization of Transverse Cracking Behavior in Carbon/Bismaleimide Cross-Ply Laminates under Mechanical Fatigue Loading"Composites Part B. Vol.33. 471-478 (2002)
• [文献書誌] T.Okabe, N.Takeda: "Size Effect of Tensile Strength of Unidirectional CFRP Composites Experiment and Simulation"Composites Science and Technology. Vol.62. 2053-2064 (2002)
• [文献書誌] S.Kobayashi, N.Takeda: "Experimental Characterization of Microscopic Damage Behavior in Carbon/Bismaleimide Composite---Effects of Temperature and Laminate configuration"Composites Part A. Vol.33. 1529-1538 (2002)