研究課題/領域番号 |
13356004
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植松 一眞 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00116542)
|
研究分担者 |
吉田 将之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (70253119)
岩田 穆 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (30263734)
佐々木 守 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (70235274)
|
キーワード | 神経活動 / 遠隔記録 / 動物行動 / 集積回路 / 回路設計 / 水中伝搬 / 魚類 / 脳 |
研究概要 |
1)先に試作したLSIを基盤上に実装し、これを用いてキンギョ脳内神経活動の導出を試みた。記録電極には極細タングステン線あるいはやや太めのステンレス線を用い、小脳プルキンエ細胞層からの細胞外記録を行った。電極は直接LSI基盤に接続した。その結果、低抵抗のステンレス電極を用いれば、S/N比の比較的良い、再現性のある記録ができた。しかしながら、高抵抗のタングステン電極を用いた場合は実用に耐える記録ができなかった。したがって、現LSIの前段に、高入力抵抗のバッファアンプを挿入する必要性が明らかとなった。 2)上記結果を受け、高入力抵抗の小型バッファアンプを作製した。市販の多チャンネルオペアンプを小型基盤上に実装し、高抵抗の電極からの神経信号をこれに入力した後、LSIへと導いた。この結果、十分な分解能を持った細胞外記録波形を得た。この方式により、小脳プルキンエ細胞の自発活動を長時間記録し、そのパターンを解析したところ、特徴的なシンプルスパイクとコンプレックススパイクの2種の電位波形が認められた。よって、バファアンプとLSIとの組み合わせにより、自由行動中における脳内ニューロン活動の詳細な解析が可能であることがわかった。 3)以上を基に、神経信号の多重化回路、低雑音増幅回路、AD変換回路、無線送信回路を搭載したテレメータLSIを設計・制作した。神経信号の入出力は、10チャンネルに拡大した。これの評価を行ったところ、ほとんどの機能ブロックが想定通りの動作をすることが確認できた。一方、クロック信号やエンコード信号を生成するレジスタブロックの動作が不良であったが、その原因はほぼ特定されつつある。従って、今後、数回の設計・試作により、本LSIを実用レベルまで改良し、自由行動中の魚類に適用することが可能となる見通しが得られた。
|