研究課題/領域番号 |
13356006
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
|
研究分担者 |
今川 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00291956)
甫立 好一 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (30348594)
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20175160)
|
キーワード | 過酸化水素産生能 / 乳房炎 / 牛乳 / 化学発光 / 牛乳酵素 |
研究概要 |
前年度実績報告書で述べたように、牛乳中にアミノ酸オキシダーゼは存在しなかった。ただし、過酸化水素を発生する未知の物質が存在し、酵素としての性状解析、及び、乳房炎との関係を調べた。 (1)性状解析について ゲルろ過クロマトにおいて分子量約2万の位置に過酸化水素を発生する物質が溶出された。過酸化水素に特異的な3種類の方法とも陽性であり、発生物質は過酸化水素であった。反応温度4℃で発生は認められず、15℃以上で温度依存的な発生が認められた。イオン交換クロマトによって分離すると発生能が消失し、カラムを素通りした物質と40mMの塩化ナトリウムで溶出した物質を混合すると発生能が認められたことから何れかの画分に酵素と基質が含まれていると結論した。遺伝子同定のため精製を進めている。 (2)乳房炎との関係 泌乳時期の異なる牛乳で時期特異的変化を調べた。泌乳初期(1ヶ月以内)では少なく、その後、約2倍に増加し、泌乳末期(1ヶ月以内)になると泌乳初期のレベルに低下した。ほぼ泌乳量と相関することが判明し、この傾向はホルスタインと黒毛和種とで差がなかった。乳房炎の指標として牛乳中の体細胞数が用いられている。数個体において、各分房ごとに採取し、体細胞数と過酸化水素産生能をしらべると、逆の相関があり、体細胞数が多いと過酸化水素産生能が低いことを明らかにした。化学発光は最も鋭敏である。しかし、実用化のため、より簡便な方法が必要と考えられたことから、短時間でアッセーが可能な方法を開発中である。
|