研究概要 |
L-アミノ酸オキシダーゼの同定とその遺伝子の同定について マウスミルクからL-アミノ酸オキシダーゼを精製した。ミルク中では113kDaの分子量であり、変成条件では60KDaであったことから二量体として存在していた。Phe, Met, Tyr, Cys, Leuなどを分解して過酸化水素を発生させた。一方、全く分解できないアミノ酸もあり、これらはミルク中に多量に存在した。遺伝子の検索を行なったところ、予測されたアミノ酸配列が完全に一致した。 マウスミルク中の抗菌機能について マウスミルクに過酸化水素を分解する酵素を発見した。このことからL-アミノ酸オキシダーゼは過酸化水素を発生させ、ラクトパーオキシダーゼが分解することを証明した。過酸化水素とその分解物に殺菌作用が知られている。そこで乳房炎乳から分離した4種類の微生物(Escherichia(E.)coli, Klebsiella(K.)pneumoniae, St aphyJococcus(S.)aureus, and streptococcus(S.)afiralactiae)を上記め条件で培養し、抗菌効果を明らかにした。何れも増殖が著しく阻害され、アミノ酸とこれらの酵素が協力して抗菌作用を示すことを明らかにした。 牛乳における抗菌作用について 牛乳においてL-アミノ酸オキシダーゼは検出できなかった。そのかわり分子量2万以下の物質が過酸化水素を発生させることを明らかにした。泌乳中期で活性が高く、初期と末期に減少した。乳房炎乳ではほとんど検出できず、潜在乳房炎乳では極端に低かった。牛では異なる機構で過酸化水素を発生させ、抗菌作用を現していた。このことから育種選抜の指標となると考えられた。
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