研究課題/領域番号 |
13357003
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
真弓 忠 自治医科大学, 医学部, 教授 (00049016)
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研究分担者 |
西澤 勉 自治医科大学, 医学部, 助手 (30306112)
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30177092)
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キーワード | TTウイルス / 遺伝子型 / 分子系統樹 / PCR / selective PCR / 遺伝子グループ |
研究概要 |
TTVの遺伝子配列は多様性が顕著であり、これまでに塩基配列が互いに30%以上異なる23種類の遺伝子型(1型-23型)が認められている。そして、同一個体が複数種のTTVに同時に感染していることはこれまでの研究からも明らかになっていたが、今回、1人の感染個体から、血清や肝臓、骨髄のみならず、肺臓や膵臓、脾臓、甲状腺、筋肉、腎臓、リンパ節などからもTTVのほぼ全長をカバーするDNA cloneを分離し、各サンプルについて30 cloneずつ解析した結果、新たな4種類の遺伝子型(24型-27型)を含む6種類の遺伝子型が同定された。このことは、TTVの遺伝子配列の多様性が予測を遥かに超えるほど著しく、これまでのTTVの遺伝子型についての研究が不十分であったことを如実に示している。 そこで、TTVの多様性の全容解明を目指し、先ず感染初期の乳幼児期の感染児からのTTVの分離を試みた。その結果、24例の1歳未満のTTV感染小児から、新たな遺伝子型に分類されうる12種類のTTVが同定された。そのなかで3種類の遺伝子型はこれまでに見出されたものとの相違が顕著で、全塩基配列の一致率はわずか50%に過ぎなかった。そこで、上記の27種類の遺伝子型のTTVとともに分子系統樹を作製し比較解析した結果、TTVは大きく5つのグループ(phylogenetic groups)に分類できることが分かった。早く発見された遺伝子型が含まれる順にそれらグループをグループ1、グループ2、グループ3、グループ4、グループ5と命名すると、今回1人の感染成人から見出された24型から27型までのTTVはグループ3に分類され、小児から分離された新たな遺伝子型のうち、9種類はこれまでに1種類の遺伝子型しか同定されていなかったグループ4に分類され、3種類の遺伝子型は新種のグループとしてグループ5に分類されることが分かった。 今後、これら5種類のグループに特異的なプライマーを設計し、selective PCR法によりグループごとでも年齢別、各種集団別に感染状況を把握する予定である。(789字)
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