研究分担者 |
松村 和子 北海道大学, 医学部附属大学, 助手 (10311515)
清水 忠道 北海道大学, 医学部附属大学, 講師 (70260396)
澤村 大輔 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60196334)
増永 卓司 株式会社コーセー研究本部, 主任研究員
古市 泰宏 (株)ジーンケア研究所, 所長(研究職)
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研究概要 |
表皮水疱症は先天的に皮膚が脆弱な疾患の総称である。予後不良な重症型を含む複数の病型が知られているが、いずれの病型においても有効な治療法が無く、国の稀少難治性疾患に指定されている。最近の分子生物学のめざましい発達により,表皮水疱症の複数の病型における原因蛋白、責任遺伝子が判明した。また、その情報に基づき、各症例での遺伝子変異が多数報告されている。特に、重症型表皮水疱症は、VII型コラーゲン、ラミニン5など皮膚基底膜構成蛋白が欠損あるいは著明に減少するために発症することが証明された。このような診断技術の向上と相反して,表皮水庖症に対する効果的な治療法は,まだ開発されていないのが現状である。本研究の目的は表皮水疱症で欠損している特定の蛋白を効率よく産生,精製し,外部から局所的に補充するという新しい発想に基づく治療法を開発し臨床応用することにある。今年は、昨年、VII型コラーゲンのcDNA全長を発現ベクターに挿入し、そのコンストラクトを表皮細胞に導入することにより、VII型コラーゲンの持続産生表皮細胞を確率した。今年は、その細胞からVII型コラーゲンコラーゲンを抽出した。動物に皮膚潰瘍を作成し、その部に合成VII型コラーゲンの外用してから表皮シートの移植を行ったところ、有意に潰瘍の治癒促進が認められた。さらに、潰瘍部に合成VII型コラーゲンを外用しただけでも、潰瘍の治癒促進が認められた。しかしながら、将来の遺伝子治療を考慮し、VII型コラーゲン遺伝子を導入した表皮細胞から作成された表皮シートを動物の潰瘍に移植したが対照と比較して潰瘍の治癒促進は認められなかった。
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