研究課題
基盤研究(A)
我々は,アンドロゲン受容体のAF-1蛋白質を用いたGST-pull-down実験でアンドロゲン受容体共役因子異常症患者者で特異的に欠損する。90kDaのタンパク質をクローニングする目的で,アンドロゲン受容体AF-1をbaitとして,酵母Two-Hybridシステムを用いたスクリーニングを施行した。その結果941アミノ酸からなるタンパク質を得た。これをANT-1と命名した。ANT-1の核内分布は、共焦点顕微鏡画像三次元再構成法によると、大きく2種類に分類された。第1は、核内のeuchromatin領域選択的なびまん性分布であり、第2は、そのびまん性分布を背景とした単一核あたりおよそ20から40個の粗大なクラスター(splicing factor compartment)であった。活性化されたアンドロゲン受容体は、ANT-1のびまん性分布領域においてのみその局在は一致していた。すなわち、アンドロゲン受容体のつくる核内クラスターは、ANT-1のコンパートメントを取り囲むように分布しており、互いのコンパートメント自体は空間的に重なり合うことはなかった。これまでに、ANT-1の核移行シグナル(145から172アミノ酸残基(aa)に存在するKRK…KRRQR)、AR転写活性増強に必要な領域(78から146aa)、および核内コンパートメント集積に必須の領域(290から410aa)を明らかにしてきたが、これらの結果を踏まえ、AR-AF-1領域に結合するため必要な領域、およびANT-1に結合するAR-AF-1領域を明らかにした。Mammalian two-hybrid法、および免疫共沈法を用いた実験の結果、ANT-1の390から490aaの領域で、ARの360から532aaの領域への結合が主要であることが明らかとなった。さらに、それ自体は転写活性化能を有しない490aaよりC端側の領域もARに結合することが明らかとなった。ANT-1は、290aaからそのC末端までは、19回反復するTetratricopeptide repeat(TPR配列)からなる長大な領域を有するというユニークな構造を持つ。現在までの解析結果より、ANT-1のTPR配列は、AR-AF-1、およびU5 snRNP複合体構成たんぱく質との結合の場を供すること、さらにANT-1は、その分子内に独立した機能ドメインを有することが明らかとなった。
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