研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 講師 (70281730)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
佐藤 誠二 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303834)
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (40314215)
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研究概要 |
初年度においては、肝細胞癌の遺伝子発現データベースから絞り込まれた約500候補遺伝子の中から、ESTを除く比較的発現量が高い139遺伝子を肝癌関連候補遺伝子として選出し,TaqManプローブを作成して発現定量法を確立したが、本年度においては既知の肝癌関連遺伝子20個を加えた上、その中からTaqMan法により定量的検討が可能であった120遺伝子を対象として解析した。 インフォームドコンセントの得られた肝細胞癌26切除症例に於けるこれら120遺伝子の発現をTaqMan PCR法にて定量的に解析し,精度の高い肝癌の遺伝子発現プロファイルを作成した。その結果、背景因子にかかわらず腫瘍部で遺伝子発現が増加/減少する20遺伝子/37遺伝子の他、組織学的分化度と遺伝子発現が有意に相関する44遺伝子を同定した。その中には癌化,転写,アポトーシス,腫瘍免疫,薬物代謝などに関連する遺伝子が含まれていた。判別分析を用いて,組織学的分化度をスコア化し,14遺伝子から成る分化度の予測モデルを構築した。さらに10症例を用いて120遺伝子の発現プロファイルを作成し予測モデル式に当てはめたところ,分化度を80%の確率で予測可能であった。また,解析全症例(36例)x120遺伝子で階層的クラスタリングを行い,早期再発危険群と無再発群に分類することが可能であった(投稿準備中)。 また、肝細胞癌LOH解析とTaqMan法による定量的解析により,高率にLOHが認められた染色体16q12.1上に癌抑制遺伝子候補SIAH1を同定した(Matsuo et al. GENES, CHROMOSOMES & CANCER. 36: 283-291.2003.)。 今回確立された肝細胞癌の分化度・予後予測モデルにより、切除標本の他に,針生検で採取された組織の解析を行うことで、術前患者,非手術患者に対象を広げた予後予測も可能であると考えている。
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